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教師の働き方改革

 教師の多忙解消に向けた働き方改革も既に試みられています。

 2019年には、給特法が一部改正され、1年間を単位とした変形労働時間制の導入が可能となりました。これは超勤分の勤務の割振り可能期間を1年間に拡大することで、学期中の残業分を夏休みにまとめて休んでもらおうというものです。

 また、自主的・自発的な勤務も含めた「在校等時間」を管理し、時間外勤務を「月45時間、年間360時間以内」とすることが指針として示されました。

 しかし、夏休みが「閑散期」でないことは先に述べたとおりです。加えて、学期中の勤務時間が長くなることで、育児や介護で「早退」しなければならなくなった人が同僚に対して気まずさを感じたり、長くなった勤務時間内の部活動指導への従事が義務化されることも懸念されます。

 また、「在校等時間」については、時間管理に行き詰った管理職が教師に虚偽記載を強要するなどのケースも起きており、「在校等時間」の帳尻あわせ的な管理が本当に教師の労働改善に資するものとなっているかは、今後も注目していく必要があるでしょう。

 こうした改革以外にも、教員免許更新制度が廃止されたり、中学校における休日部活動の民間移行の議論が開始される等、文科省によるさまざまな多忙解消施策が模索されています。

 その一方で、プログラミング教育やキャリア教育が推進されたり、小学校において外国語が教科化される等、文科省は矢継ぎ早に業務を増やしているという事実もあります。

 文科省による諸施策は、教師の働き方について、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものであり、改革を迷走させ、それを絵に描いた餅に終わらせるおそれがあると言わざるを得ません。

 さらに、このような制度的な側面だけでなく、文化的な側面から教師の働き方を考える必要があります。教師は、熱心さを重視する文化を共有しており、献身的に働く教師が同僚から評価される傾向にあります。このような教員文化がかれらの働きすぎを助長している側面もあります。

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