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2013.10.01

チャレンジすることで未来は拓ける ―レトリック批評の現在と現代若者論―

チャレンジすることで未来は拓ける ―レトリック批評の現在と現代若者論―
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若き日のディベートが出発点だった

鈴木健教授 私が研究対象としているのは「公の説得の技法としてのレトリック批評」です。まず最初に、私自身がこの学問分野に行き着いた経緯を語ることから始めたいと思います。英語に堪能になることに憧れていた私は、大学に入学するとさっそくEnglish Speaking Society (ESS)という英語サークルに入ることにしました。その中で私が選んだセクション活動は「ディベート」です。2年生になって対抗試合に出始めましたが、1年間はとにかく出ると負けで、予選を通った記憶がありません。3年生時にはディベート・セクション・チーフになったこともあって、できることはすべてやってみようと頑張りました。秋の大会では東日本大会決勝戦まで駒を進めましたが、最後の最後で負けてしまいました。それが悔しくて、3年間の社会人生活を経た後、カンザス大学コミュニケーション学部大学院修士課程にディベートをテーマに修士論文を書きながら、アメリカ人大学生相手にディベートコーチを務めました。
 私が最初にアメリカに留学したのは、ディベートを勉強したかったからであり、修士論文も日米大学生ディベート活動の比較がテーマでした。ディベートはある主題について異なる立場に分かれ議論するコミュニケーションの形態ですが、議論学(Argumentation)と呼ばれる議論のプロセスや説得力等が研究対象とする学問分野の一部となります。それが敷衍して、「レトリック批評」(Rhetorical Criticism)や「説得コミュニケーション論」といった、現在の研究対象に行き着いたのです。
 カンザス大学大学院では、日本人として初の全米ディベート選手権審査員を務め、さらに3年後に留学したノースウエスタン大学大学院博士課程では日本人として初の全米ディベート選手権優勝校のコーチを務めるという僥倖にも恵まれました。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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