
人生のターニングポイント英語は趣味のまま?——30代からの挑戦がキャリアを変えた
教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【113】
私は子どもの頃『赤毛のアン』や『若草物語』といった海外の少女小説を読むのが大好きで、海外に強い憧れを抱いていました。
そして、外国語にも興味を持ち、中学・高校では英語を一生懸命勉強し、大学ではスペイン語を専攻しました。
しかし、結婚後家庭に入り、語学の勉強は続けていましたが、趣味のようなものになってしまいました。
ところが、30代のときに、夫の転勤で思いがけずアメリカに住むことになったのです。
私は英語の読み書きは得意だったのですが、会話は苦手だったので、この機会にそれを克服しようと張り切って渡米しました。
そして、近くのコミュニティカレッジに通ったり、地元の美術館でボランティアをしたりして、英語力を上げる努力をしました。
受験勉強などで文法やリーディングは得意にしていましたが、実際に会話するのは苦手だったので、自分のなかでは、これが英語力を上げるラストチャンスだというぐらいに張り切っていました。
アメリカで英語の勉強を続けていくうちに、日本に帰国したら英語を教える仕事に就きたいと考えるようになり、最終的にはアメリカの大学院に通って、英語教育学(TESL)の修士号を取得しました。
大学院で一緒になった学生たちは、ほぼネイティブスピーカーで、すでに先生として活躍されている方も多かったです。わたしはその環境の中で、非英語母語話者に英語を教える教育法を学びました。
子育ての傍ら睡眠時間を削ってレポートを書く日々はかなりハードでしたが、アメリカに住んだ5年間が私のターニングポイントになったのは間違いないと思います。
たとえば、就職に失敗したと思ったり、仕事を辞めたりしても、それで一生が決まるわけではありません。人生は何度でもやり直せるものです。努力とチャンスをつかもうとする気持ちがあれば、年齢に関係なく新たな道を切り開くことができます。
大切なのは、好きなことを続けるということです。私は純粋に英語を勉強するのが好きで、学ぶたびにワクワクする気持ちを感じていました。学生時代から「このスキルを無駄にしたくない」「ずっと続けていこう」という思いが強くありました。
ただ、アメリカに行くまでは「英語を仕事に使うことはないだろう、一生趣味のままかもしれない」と思っていたのも正直なところです。
しかし、「好きだから続ける」という気持ちで学び続けていたところ、思いがけずチャンスが訪れました。もし途中でやめていたら、そのチャンスをつかむことはできなかったかもしれません。
やはり、好きなことをとにかく続けることが大切だと、改めて実感しています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。