
人生のターニングポイント東大に2度入学し定まった、人生の針路
教授陣によるリレーコラム/人生のターニングポイント【21】
私のターニングポイントは、同じ大学の理系学部から文系学部に入り直した時です。
高校時代から、大学では文系の勉強をしたいと思っていたのですが、現役で入学したのは東京大学の理系の枠でした。
理由は、理系の方が入試の点数がとりやすかったことと、東大は3年生から専門分野を決めることができると聞き、その時に文系へ進路を変えればいいと思ったからです。
しかしいざ入ってみると、入学から2年近くもたくさんの理系科目を必修しなければいけないことがわかり、5月には早々に退学してしまいました。理系科目は得意ですが好きではなかったのです。
まわりからは「もったいない」と言われ、両親に対しては「申し訳ない」という気持ちがよぎりましたが、「自分の進むべき方向をもう一度見つめ直したい」一心からの行動でした。
1度乗ったレールを降りて、故郷に帰ったことで、私は文系というレールに乗り換えることを決意しました。
そして受験勉強をやり直し、翌年、無事に東大の文系学部への入学を果たしたのです。そこで初めて、大学で学ぶ喜びを味わうことができたというわけです。
3年生になり、まわりが就職活動で忙しく動いていた時にも、まったく気にすることなく自分の研究を続けました。次第に日本文学の面白さに目覚めていった私は、大学院へ進むことを決めていたからです。
今は本学の教員として教える立場になりました。学生には、自分の気持ちに正直に、進むべきレールを見つけてほしいと思っています。
社会人の皆さんも「自分の本当にやりたいこと」を見定めるために、今までの人生を1度振り返ってみると、別のレールを見付けることができるかもしれません。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。