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#3 どうやって外国人に日本語を教えれば良いの?

小森 和子 小森 和子 明治大学 国際日本学部 教授

日本語教師は学習者に寄り添う姿勢が大切

在留外国人は地方にもかなり増えましたが、以前は、まだまだ日本語教育の体制が整っていなかったため、地方によっては、日本語教育が受けられず、母語しか話せない外国人が多くいました。

そのため、彼らが行政的な手続きのために市役所などを訪れると、彼らも市役所側も大変でした。英語がわかる職員が他の部署から駆り出されて対応することも多かったようです。ですが、外国人もみんなが英語を話すわけではありませんし、日本語を学びたいと思っている外国人も少なくありませんでした。

そこで、多くの地方では、外国人と地域住民の国際交流も考えながら、住民の方々がボランティアで日本語教育を行い始めました。日本語教育は、そうした草の根のボランティアに依存したのです。

しかし、日本語を習いに来る外国人の目的も多様ですし、日本語教師もボランティアですから、十分な習得や教育は難しいこともありました。

そこで、日本語教師に一定の基準を設け、資格制度を導入することも検討されるようになりました。しかし、母語をはじめ、年齢、母国で受けた教育のレベル、日本語習得の目的もそれぞれ異なる学習者に対応する日本語教師に、一律の教員資格を設定することは難しいのです。

こうした状況の中で、2018年に、日本語教育に関わる人材を、日本語教育を専らにする日本語教師、日本語学習を支援する者、そして、日本語教育をコーディネートする者、の三つに分け、整備を進めていく方向性が示されました。

こうした日本語教育人材の育成により、多様化する日本語学習者に対応していくことが考えられています。外国人を受け入れることが苦手だった日本社会でも、ようやく様々な取り組みが動き始めてきたと言えます。

また、日本語を正しく習得してもらうためには、日本語教師の力量が重要です。そのためには、教師養成は重要ですが、それだけでなく、特定の母語話者の間違えやすい点に特化した教材などが作られていけば、向上していく面があります。

一方で、日本語を教えてあげるとか、サポートしてあげる、といった気持ちでは良い教育はできません。日本語学習者は日本語において未熟だというだけで、決して劣った人ではありません。むしろ、私たちが彼らの母語が理解できないから、日本語を学んでもらう必要があるとも言えます。

日本語教師は、その人の母語を尊重し、理解しようとする気持ちをもてば、学習者に寄り添う姿勢が生まれます。

学習者が日本語の使い方を間違えたとき、ただ間違いを指摘するだけでなく、例えば、それは母語ではどう言うのか聞いてみるのです。その人の母語に関する知識が増えるし、日本語の間違いの理由も理解できるようになるかもしれません。

すると、日本語教師としての知識を増やすことにもなり、学習者の日本語習得の向上にも繋がっていくはずです。教師の力量とは、技術的な面だけではないのです。

まず、互いを理解し合うことです。それが語学教育には重要ですし、それが多文化共生にも繋がっていきます。それによって、多様な人たちが摩擦なく暮らしていける社会が形成されていくと思います。

次回は、やさしい日本語について解説します。


#1 在留外国人は日本語を学んでいるの?
#2 日本語は難しい言語?
#3 どうやって外国人に日本語を教えれば良いの?
#4 やさしい日本語って?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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