明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

私が考える「次世代リーダーに必要な力」【11】

明治大学 国際日本学部 教授 小笠原 泰

めまぐるしく変化する世界情勢において、企業や組織が生き残っていくために、どんな人材が求められているのか。
さまざまな分野に精通した明治大学の教授陣が考える、これからの日本を担うリーダーに必要な力とは。

孤独に耐えられる強い覚悟を持て

日本人には欧米で言うところの本来の意味でのリーダー観がないように感じます。一般に、リーダーの代表例といえば会社の社長が思い浮かべられがちですが、日本組織のピラミッドでは、社長は据え物と言えます。事が起きたら責任をとって辞めるだけで、権威はあるものの、あまり強いコントロールは発揮できません。実は、リーダーの資質は職位とは関係ないのです。マネージャーとは違います。欧米的なリーダーは権力(コントロールと権威)を持ち、環境そのものを変えてしまうので、日本ではおそらく受け入れられないでしょう。日本人は役割構造を重要視していて、それを壊されるのを嫌がるからです。日本では、組織の長に権力(コントロールと権威の両方)を持たせないことが生活の知恵のようです。

真のリーダーとは外部環境条件を受容させつつ、コントロールしようとする人間です。自己組織を形成し、人が自ずとついてくるような決断をします。ただしイエスマンばかりの取り巻きをつくったら終わりです。組織の硬直化を招きかねません。そのためリーダーは孤独に耐える必要があります。悪くも言われますし、辛いことが多く、並大抵でない決意が必要です。また、強いリーダーとともに歩むことは痛みを伴います。

環境を抜本的に変えることが求められる今の日本には、本当はリスクテイクの高いレベルと将来を見据えた揺るぎない覚悟を備えた人物こそが、リーダーとして求められています。その意味で、痛みを伴わない甘い公約をする政治家は、今求められるリーダーではないことを国民が強く認識することも、今後の日本社会の持続性を考える上では重要ではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • Hatena

連載コラムの関連記事

自分の文章力を向上させる読書法を実践してみよう

2019.5.23

自分の文章力を向上させる読書法を実践してみよう

  • 明治大学 文学部 教授
  • 小野 正弘
ドイツの大統領の、歴史的名演説を読もう

2019.5.16

ドイツの大統領の、歴史的名演説を読もう

  • 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授
  • 清野 幾久子
#5 公共交通を支えるために住民にできることは?

2019.5.10

#5 公共交通を支えるために住民にできることは?

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 木村 俊介
ライフサイクルを見定め自己の危機を乗り越えよう

2019.5.9

ライフサイクルを見定め自己の危機を乗り越えよう

  • 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授
  • 平田 厚
#4 コミュニティバスの財源をどうする?

2019.5.7

#4 コミュニティバスの財源をどうする?

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 木村 俊介

Meiji.netとは

新聞広告連動企画

新着記事

2019.05.22

日本の主権者教育は、世界に40年以上遅れている!?

2019.05.15

流行語大賞選びでわかる、日本語のしたたかな柔軟さ

2019.05.08

働き方改革は、「自分らしく働く権利」のために

2019.04.24

子どもに会うための共同親権制度では本末転倒

2019.04.17

SDGs時代のお墓のあり方とは?

人気記事ランキング

1

2019.05.22

日本の主権者教育は、世界に40年以上遅れている!?

2

2014.09.01

緊急提言、人口減少社会に歯止めをかける ―方策は少子化対策、社会…

3

2017.12.06

ネット依存によって、現代人の脳の構造が変わりつつある!?

4

2018.05.23

衰える結婚、止まらぬ無子化 ――このままでは日本の未来が失われる

5

2019.05.15

流行語大賞選びでわかる、日本語のしたたかな柔軟さ

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム