
2021.03.03
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
私は、日本のサブカルチャーを研究するゼミを行っています。国際日本学部はゼミが必修ではないので、当然卒業論文も必修ではないのですが、私のゼミでは卒論を書き、それを卒論集として本にして同人誌即売会などで販売しています。ゼミの入室ガイダンスの際には次のように説明しています。
漫画やアニメ、ゲーム、テレビ、映画、写真、雑誌、音楽、ファッション、広告、インターネットなど、参加者各自が興味を持っている、さまざまなジャンルの大衆文化・サブカルチャーについて、それがどのようなメディアによって成立しているのかという点を意識しながら、普段とは違った角度から見つめ直すことで、身近な事柄の中に問題を発見していくことのできる知識と知恵を身につけていってもらいたいと思います。
一般論・抽象論ではなく、参加者各自が興味を持っている、何か具体的な作品や作家、ジャンル、現象などについて、そこで、①何が(内容、テーマ)、②どう(形式、メディア)、表現され、享受されているのかを、多面的に捉える練習をします。
また、調べる→まとめる→発表する→ほかの人の意見を聞く→それをふまえてレポートにまとめる、という一連の手順を全員に練習してもらうことも、このゼミの大きな目標になります。一言で言えば、自分にとって重要なことを、ほかの人とともに、考える練習です。
これは、単に4年次の卒業論文作成に向けての準備であるだけでなく、オトナの人に必要な、自己把握能力・プレゼンテーション能力・コミュニケーション能力を高めていくための基礎作りでもあります。
基本的には人文・社会科学系の教育・研究の効能一般のお話ですが、身近な事柄の中に問題を発見していくことのできる知識と知恵を身につける、というあたりは、サブカルチャーを対象にしていることの意味がはっきりするところでしょうか。
次回は、私が専門にしている漫画の歴史についてお話していきます。
#1 サブカルチャーを研究する意味とは?
#2 漫画の始まりはいつ?
#3 手塚治虫以前には、どんな漫画があったの?
#4 漫画を研究するポイントって?
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。