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成功するために必要な「やり抜く力」を伸ばそう

廣森 友人 廣森 友人 明治大学 国際日本学部 教授

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【11】

アンジェラ・ダックワース『やり抜く力 GRIT(グリット)-人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』(神崎朗子訳・ダイヤモンド社・2016年)

近年、才能や努力に続く第3の成功因子として注目を集めているのが「グリット」(grit;やり抜く力)です。昔は、成功するためには適性やセンス、才能が必要だとされていましたが、最近は才能なども日々、変化・発達していくという見方に立った研究が増え、心理学や脳科学、ビジネスなどの幅広い分野で、グリットの存在が脚光を浴びています。これは私が関わっている外国語(英語)教育にも強く当てはまります。

本書はグリット研究の第一人者であり、心理学者であるダックワース氏が一般の読者向けに書き下ろしました。たとえば、グリットを伸ばすには、見通しを持たせることだと彼女は述べています。人間は自分ができそうもないことはやりたくないので、まずは何とかやれそうだという期待をさせることが大事なのです。

私たち学校の教員は生徒のやる気を高める方法について話はしますが、いかにやる気を維持させるかについては視点が向きにくいようです。継続してやってもらうためにはどうしたらいいのか、あるいは生徒にやり抜く力を持たせるには何をすべきか、考えていかなければなりません。また、教育関係者はもちろん、ビジネスパーソンにとっても継続は大切です。若いときは勢いでなんとかなるかもしれませんが、40代・50代を迎えたときにどう乗り越えるか。さらに、課長や部長の立場になると若手社員の意欲を引き出す必要もあります。本書は、自ら成長するうえでも、他者の能力を向上させるうえでも、さまざまなヒントをもたらしてくれることでしょう。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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