明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

もともとは貧困対策から始まったフードバンクの活動

最近、「フードバンク」という言葉を耳にした人も多いのではないかと思います。

その取り組みは、簡単に言うと、まだ食べられる食品を様々な理由で破棄している企業や生産者、また、食べきれずに余っている食品がある家庭などから、それらの食品を無料で寄付してもらい、食品を必要としている福祉施設や団体、個人などに、原則として無料で提供する活動です。

つまり、まだ食べられるのに破棄される食品を引き取り貯蔵する倉庫であり、それを必要とするところに配布する中継としての機能があるわけです。

このフードバンクが日本で注目されるようになった背景には、コンビニでは消費期限が近づいたお弁当を破棄するといったことが大きく報道されてから、食品ロスについて社会的な関心が高まったことがあると思います。

一方で、福祉の側面もあります。フードバンクの取り組みは、1960年代にアメリカで始まるのですが、そのときは、家庭が貧困で満足に食べられない子どもたちに、社会で余っている食材を届けようという、貧困対策の活動でした。

また、日本では2000年に活動が始まっているのですが、その活動団体のひとつである「セカンドハーベスト・ジャパン」を立ち上げたのは、アメリカ人のチャールズ・マクジルトンさんです。

彼は、日本にも多くのホームレスの人たちがいることを目の当たりにして、アメリカ社会には普通にあるフードバンクの活動を日本でも始めたのです。

つまり、フードバンクの始まりは、食品ロス対策というより、福祉活動の意味が大きかったのです。

一方、日本では2001年に「食品リサイクル法」が施行されます。これは、食品をただ破棄してごみにするのではなく、肥料にしたり、家畜の餌にするなど、有効に活用するための施策です。

その食品リサイクルの中のひとつの方策としてフードバンクが考えられたこともあり、食品ロス対策としてのイメージが強くなったのだと思います。

次回は、フードバンクの具体的な活動について解説します。

#1 フードバンクとは?
#2 フードバンクは食品ロスと生活困窮者を救う?
#3 フードバンクはどれくらいの食品を配布しているの?
#4 フードバンクが正しいというのは間違い?
#5 フードバンクと社会保障制度は連携するの?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

リレーコラムの関連記事

今日の経験を、未来の自分に活かす生き方をしよう

2021.6.10

今日の経験を、未来の自分に活かす生き方をしよう

  • 明治大学 総合数理学部 教授
  • 小林 稔
「信念×柔軟性」で、新しい未来を創造しよう

2021.6.3

「信念×柔軟性」で、新しい未来を創造しよう

  • 明治大学 総合数理学部 准教授
  • 浦野 昌一
先人の功績は生み出された“過程”にも注目しよう

2021.6.1

先人の功績は生み出された“過程”にも注目しよう

  • 明治大学 理工学部 教授
  • 長島 和茂
世の中で起こる全てを、経済学的視点で読み解こう

2021.5.27

世の中で起こる全てを、経済学的視点で読み解こう

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 加藤 竜太
著名人の言葉を、人生のヒントにしよう

2021.5.20

著名人の言葉を、人生のヒントにしよう

  • 明治大学 理工学部 教授
  • 石原 康利

新着記事

2021.06.10

今日の経験を、未来の自分に活かす生き方をしよう

2021.06.09

人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

2021.06.03

「信念×柔軟性」で、新しい未来を創造しよう

2021.06.02

再生可能エネルギーを当たり前にするために必要なこと

2021.06.01

先人の功績は生み出された“過程”にも注目しよう

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2021.06.09

人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

3

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

4

2020.06.10

書店が本の価格を決めたら、本はもっと売れる!?

5

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

リレーコラム