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#2 消費税の導入で生活者の負担は増えた?

星野 泉 星野 泉 明治大学 政治経済学部 教授

消費税導入は、減税超過型の改革だった

社会保障の財源として知られている消費税ですが、施行されたのは1989年です。当初は3%でしたが、その後、地方消費税を含んで5%、8%と引き上げられ、今年(2019年)の秋、10%になる予定です。

そもそも、消費税のような何にでもかかる消費課税は、増えてきた国債への対応で、財政再建を主たる目的とし、1979年に大平政権の一般消費税、1987年には経済の中立性や国際化を目的として中曽根政権では売上税として、ともに税率5%での導入を試みましたが、失敗。それを受けて、竹下首相が、直間比率の是正、高齢化社会への対応として所得税、法人税の大幅な減税とともに、消費税率を3%とすることで実現したわけです。

最初に大平首相が消費税導入を提唱した1979年から、施行された1989年までの10年間で、国債残高は60兆円から160兆円へと増加し、社会保障給付費は22兆円から45兆円へと倍増しています。政府としては、新しい財源として、なんとか消費税を導入したかったわけです。

しかし、このときの消費税導入は、実現可能性を重視したため、減税超過型、すなわち増税額より併せて実施された法人税や所得税など減税幅の方が大きいという改革でした。

例えば、40代以上の人は、消費税導入前に物品税があったことを覚えていると思います。いわゆる贅沢品課税で、車であれば、小型車でも18.5%、普通車は23.5%の課税があったのです。それが、消費税になると、過渡的に6%税率という段階を経て、いまでは8%の消費税になっています。

ほかにも、冷蔵庫やテレビ、クーラーなどの電気製品にも課税されていました。要は、収入が多くて、贅沢な商品を購入する人にはたくさんの税金を負担してもらうという発想だったのです。

ところが、消費税の導入にともなって物品税が廃止されるなど、所得の多い人にとっては大幅減税となり、その分、広く均しく、低所得者や高齢者にも負担してもらうということになったのです。

所得税減税も、最高税率が70%,60%,50%,37%と大幅に下げられてきましたが、所得階層の下の方にはこれほどの大幅減税はありませんでした。

しかし、当時はバブルの時代で、みんな浮かれていました。物品税が廃止されたり、所得税減税によって自分はどれだけ減税されるか、ということに関心はあっても、高齢者が増えること、少子化が進んでいること、それにもかかわらず高額所得者に大幅減税があったことに、多くの人は関心をもちませんでした。

しかし、いまでは社会保障給付費(年金、医療、福祉など)は120兆円になり、それは対国民所得比で30%に達しているのです。

今後、日本のとる道は2つあります。税や社会保障負担費を増やすか、社会保障の伸びを抑えて自助努力を促すか、です。しかし、前回も述べたように、1人暮らしの高齢者も増えている現在、自助努力ばかりに頼ることは現実的ではありません。だとすれば、日本のとる道はひとつなのです。

次回は、日本の税金の水準について解説します。

#1 日本の少子高齢化は、さらに進むの?
#2 消費税の導入で生活者の負担は増えた?
#3 税金がなければ自由に使えるお金が増える?
#4 日本人は税金の意義を理解していない?
#5 増税によってみんなが納得できるようになる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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