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#1 都市生活者に地方創生は関係あるの?

明治大学 政治経済学部 准教授 奥山 雅之

都市への産業と人口の集中のデメリットは、都市生活者にもある

もちろん、大いに関係があります。まず、財政の問題です。

戦後の歴史を見ると、1950年代の戦後復興期に、重化学工業の発展を促すために都市部周辺で良好な港湾のある地域に集中的に支援が行われました。

1960年代になると、都市部の工場を制限する政策によって地方の企業誘致を促します。地方に移転した企業には補助金や税制面の優遇がありました。

しかし、1970年代の半ば頃から、主力産業が重厚長大型から軽薄短小型に移行し始めると、都心における多種多様な産業集積のメリットが大きい企業が増え、地方分散政策は上手くいかなくなります。

1990年代半ば頃からは工場の事業者数、従業員数に占める大都市圏の割合が拡大するようになりました。

近年では、都市への産業と人口の集中、地方の衰退がますます進む傾向です。つまり、地方に対する国の支援体制も、地方自身の危機意識や自立の取り組みも、産業の構造的変化に対応し切れていないのが現状です。

結果から見ると、戦後以降の、地方に対する手厚い財政的支援や公共事業などによる政策は、地方に、それに頼る体質を生み、自律的発展を阻害する要因ともなったといえます。

このことは、税収の地方への配分が高く、税収が好調な都市部は割を食っているということにもなります。例えば、東京都などは、税配分の基準の変更などにより、年間5000億円減っていると主張しています。年平均2000億円あれば、保育所を600施設整備できるというのです。

さらに、東京への一極集中は、混雑や交通渋滞を生み、通勤ラッシュに至っては前近代的な状況が続いています。このうえ、「地方創生」政策の下で、さらに地方への財政支援を続け、それでも成果が得られず、都市部への人口の流入が続き、さらに税収が減らされるということになれば、都市の生活環境は悪化し続けかねません。

つまり、地方創生の成果は、都市生活者にとっても他人事ではないのです。

しかし、これを都市と地方の対立と捉えては、この状況を好転させる糸口は見えてきません。地域の活性化に成功しているところは、どういった取り組みを行っているのか。都市生活者がより豊かな人生を考えたとき、そのための可能性や選択肢の幅を広げるにはどうしたらよいのか。こうした視点から見ていくと、地方と都市の違った関係が見えてきます。

次回は、シリコンバレーモデルに見る都市と地方の関係について解説します。

#1 都市生活者に地方創生は関係あるの?
#2 なぜ、世界では「シリコンバレーモデル」が成功しているの?
#3 地方は、よそ者に排他的なんでしょう?
#4 地方は都市より住みにくいでしょう?
#5 地方創生は都市生活者に何をもたらしてくれる?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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