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#4 地方創生にも痛みがある 一人ひとりが痛みの覚悟をすべき時代

加藤 久和 加藤 久和 明治大学 政治経済学部 教授

世の中の気になる出来事をピックアップし、明治大学の教授陣がその専門的な視点からみなさんへのアドバイスを連載形式でお届けするトレンドウォッチ。今回は少子高齢化がテーマです。かなり以前からこの問題は大きく取り上げられていますが、果たして我々は普段の生活の中で、どの程度この問題を意識しているでしょうか?今回は、明治大学政治経済学部の加藤久和教授に、少子高齢化社会に向けて我々一人ひとりが何をすべきなのか、分かりやすく解説していただきました。

各地方に拠点都市を創るためには資源の集中投下もやむを得ない

このシリーズの第1回で、日本の人口は2060年に、いまの1/3が減ると言いました。そうなると、すべての市町村をいまと同じように維持することが難しくなることが考えられます。つまり、誰も住んでいない市町村が出てくることが予測されるのです。原因は、人口減少とともに東京への一極集中です。その対策として、東京から地方移住を進める議論がありましたが、これは現実的には簡単なことではありません。東京で生活していた人が、地方での生活に慣れるのは容易ではないからです。そこで、各地域に、進学や就職のために東京まで来なくてもいいような拠点都市を創ることが考えられています。そのためには、特定の都市に資源を集中させ、若い女性や高学歴の人たちにとっても満足できる街創りを進めることが必要です。例えば、金沢に資源を集中し、街独自の伝統をさらに活かすとともに、若い人たちが自己実現できる仕事や目標の在る都市に発展させ、北陸地方の人たちにとって住みたい街にするのです。特定都市への資源の集中は公平ではなく、痛みを周辺の市町村に押しつけるように見えます。しかし、少子高齢化の社会では、すべての市町村に資源を分割して投入することは、すべての市町村の衰退、そして消滅につながりかねません。資源を集中させる政策によって、例えば北陸地方は金沢を軸に生き残ることができます。また、高齢者は先祖代々の土地から離れたくないと言いますが、高齢者が点在する地域では介護難民や医療難民になる恐れが高まります。支援する医師や公務員の数も減っていくからです。しかし、子どもたちが東京ではなく、近隣の拠点都市に居るのであれば、見守りやお世話に行くのも容易になるはずです。

2016年の新生児は100万人を割りました。日本で新生児が100万人を割るのは、100年ぶりといわれています。これほど急激に人口が減り続け、かつ高齢者が増えていくのは、日本の歴史上初めてのことです。いま、私たちは本当に未曾有の岐路に立っているといえます。20年後、30年後の社会の在り方を見定め、そこから、いま何をすべきかを考えた政策が必要です。私たちは、議論されていることが私たちの子どもたちが生きる将来の社会につながる長期的視野に立った政策であるのか、それをしっかり判断し、必要なことには、一人ひとりができる負担と痛みを分かち合わなければいけない時代に居ることを覚悟すべきだと思います。
 

#1 少子高齢化が進むと社会はどうなる?
#2 少子化対策のための予算を増やそう!!
#3 次の世代を助けるために、高齢者にお願いする応能負担
#4 地方創生にも痛みがある 一人ひとりが痛みの覚悟をすべき時代

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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