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#4 P2P型には、B2C型の民泊にはない魅力がある?

明治大学 商学部 教授 藤井 秀登

インバウンドとコミュニケーションを図り、異文化交流が行いやすいP2P型

民泊の効果として、経済波及効果ばかりが注目され、どうやってホテルなどの従来の宿泊業に近づけていくのかばかりに目がいっているように思います。例えば、新しく施行された民泊新法では、マンションなどの空き部屋を無駄にすることなく運用したいという側面が強く感じられます。つまり、空き部屋をホテルなどの空き室と捉え、それを観光客などに不満や問題が起きないように使ってもらおうという発想です。確かに、民泊が発達したアメリカにも、州によって民泊に関する取り扱いは違いますが、家主不在型のB2C型があります。その意味では、空き部屋を貸し出すということに重点をおいた日本の制度は、目新しいものではありません。

しかし、この連載の2回目で説明したように、民泊には家主居住型のP2P型もあります。これは、日本に従来からある民宿と似ていますが、民宿は旅館業法の簡易宿所営業に該当し、同法に定められた設備やスタッフなどを配置しなければなりません。それに対して、民泊は特に大きな設備の必要はなく、民宿に比べれば手軽に始めることができます。しかも、似たメリットがあります。家主と宿泊者の間でコミュニケーションを図ることができ、交流しやすいということです。特に、インバウンドが多い民泊の場合、その交流は、大きくいえば、文化的、社会的な側面に広がっていくことが期待できます。例えば、宿泊者にとっては、日本のおもてなしの文化や、なにが日本社会のマナーに触れるのかということなども、宿泊業の半商品化である民泊だからこそ、完成された商品としてパッケージ化されたホテルや旅館とは違った形で実感できることがあるはずです。逆に、家主側もインバウンドとのコミュニケーションを通して、リアルな異文化交流を体験することができます。

また、前回、民泊の運用によって生まれる利害の対立を緩衝し、恩恵が平準化する仕組みを構築することが必要と述べましたが、ここでいう恩恵とは、経済的な面ばかりでなく、異文化交流によリ得られる文化的、社会的効果の面と捉えることも可能だと考えます。なぜなら、もともとP2P型の民泊が行われる地域とは、有力な観光資源がある地域であることが多く、そうした地域で暮らす人たちにとっては、インバウンドや観光客に対して、ただ地域を見て回ってお金を落として行く、自分たちとは無関係の“よそ者”ではなく、人と人の直接的な異文化交流を図ることができる近所の家に泊まっているお客さんとして接することができるようになり、それは他地域では得られない貴重な体験となり得るからです。

住民のみなさんにとっては、地域で民泊が行われることに不安感をもたれることは多いと思います。が、民泊新法を契機として、P2P型の民泊を、地域の人たちがインバウンドとの交流を図っていく方策として捉え、そのための議論を行っていくことも考えていただければと思います。

次回は、民泊の今後の発展について解説します。

#1 なぜ民泊が必要なの?
#2 民泊の問題点は改善できるの?
#3 民泊を規制する地方公共団体の条例は法律と対立する?
#4 P2P型には、B2C型の民泊にはない魅力がある?
#5 日本に民泊は定着する?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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