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あなたも感情や思いこみに左右されて買物していることを自覚すべき

人は、消費行動においても感情の影響が大きいということがわかっていて、そうした消費者心理を突いてくるのが企業側の方です。例えば、前回も述べましたが、限定品やタイムセールという言葉で煽ったり。例えば、買物する度にポイントがつき、5ポイントごとに何らかの特典があるというシステム。あなたは、貯まっている3ポイントが惜しく、無理や無駄をしても、あと2ポイントを得るために買物をしませんか。例えば、通販番組では、電話が繋がりにくくなっているとか、今日だけオペーレーターを増員しているというトークがよく使われます。あなたは、注文が殺到しているのだと思い、自分も、という気にさせられませんか。

賢い消費者になるためには、まず、人は感情プラス理性で消費行動もするものだということを、あなたもしっかり認識することです。むしろ、感情の暴走を抑えるのが理性といっても良いかもしれません。ところが、抑制の効かなくなった感情による行動は、それが感情による非合理的な行動であると認識もできなくなり、まるで損得勘定による行動のように自分自身で思い込みがちになります。クチコミが良かったり、ランキングが高かったり、また、行列ができるお店であったりすると、みんなも買っているのだから良い商品なのだと信じてしまうこともよくあります。これらは、理性的な判断と思っているようで、実は、思いこみによって理性的な判断を放棄しているような状態です。理性的に考えれば、他人の判断に関係なく、自分にとって良いものを選ぶはずなのですから。こうした思いこみによる衝動買いや無駄な買物を防ぐには、欲しいという感情に対して、ちょっと冷静に考えてみることが必要です。とはいえ、理性的に考えるのは大変難しいことなのです。

次回は、理性的に考えるテクニックについて解説します。

#1 いま注目の行動経済学って、なに?
#2 行動経済学で賢い消費者になれる?
#3 失敗しない買物テクニックとは?
#4 行動経済学で政策も成功する?
#5 行動経済学で企業経営も成功する?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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