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2026.02.19

再生可能エネルギーの大量導入を可能にする「レドックスフロー電池」

再生可能エネルギーの大量導入を可能にする「レドックスフロー電池」
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再生可能エネルギーといえば、資源の枯渇の心配がない、CO₂を出さないなど、比較的に良いイメージを持っている方が多いと思います。しかし天候次第で発電量が変化する再生可能エネルギーは、電力の需要と供給のバランスがとりづらく、停電などの事故に至るおそれもあります。安全かつ有効に活用するには、貯蔵する装置が不可欠です。ここでは私たちの研究室でも開発を進めている、再生可能エネルギーの安定利用に適した貯蔵装置、「レドックスフロー電池」について解説します。

再生可能エネルギーの課題解決をめざす、レドックスフロー電池

石飛 宏和 主に太陽エネルギーを由来とする自然界から得られる再生可能エネルギーは、燃料を必要としない半面、発電量にはさまざまな制限があります。

 日本国内において、大型の水力発電所は設置可能な場所には既に設けられており、これ以上水力に頼るのは難しい状況です。風力発電に関しても、日本で風の強い地域が限られています。全国的に使えるのは太陽光発電ですが、太陽光では天候や季節によって発電量が左右されるうえ、夜間に発電できません。再生可能エネルギーは安定的に発電し続けられないため、活用するにはエネルギー貯蔵技術が不可欠です。

 エネルギーの貯蔵法の一つに、揚水発電所があります。揚水発電とは、高い場所にある上池と低い場所にある下池の2つのダムをつくり、電力が余っているときには下池から上池に電力を使って水をくみ上げ、電力が足りない時には上池から下池に水を流して発電する仕組みです。近年では、昼間の太陽光発電で水をくみ上げ、夜間に水を流して電気を供給する活用法も採られていますが、日本国内では揚水発電所の建設に適した地形が限られており、新たな設置が難しい状況にあります。

 再生可能エネルギーの普及に伴い、電力を効率的に貯めて使うための新しい蓄電技術が求められています。私たちが研究するレドックスフロー電池は、まさに新たな蓄電技術として注目されているものの一つです。

 レドックスフロー電池とは、反応する物質を溶かした液体に電気を貯める方式の蓄電池です。エネルギーを溜めるタンクと充放電を行うセルとが別々になっているのが特徴です。

 同じ蓄電池でも、リチウムイオン電池は、エネルギーの貯蔵と充放電を行う部分が一体化しています。つまり製造時に決められたリチウムの量でしか充放電できないため、容量を増やすには、つないで数を増やすしかありませんので、容量もしくは充放電速度がオーバースペックになります。加えて、モバイルバッテリーなどの炎上事故も起こっている通り、リチウムイオン電池は安全管理が大変です。産業スケールとなれば、相当な消防設備をつけなければいけません。

 それに対してレドックスフロー電池は、タンクとセルの大きさをそれぞれ変えられます。ここでいうセルとは、電解液が流れ込み、電極で酸化還元反応が起きる“放電・充電の本体部分”です。タンクを大きくし、電解液の量を増やすことで貯められる電気量を大きくでき、セルにある電極の面積を広げることで出力する電気量を高めることもできるのです。リチウムイオン電池と異なり水を用いた電解液を用いているために発火の危険性が無く、安全性も高まります。

 どれだけの再生可能エネルギーが貯蔵でき、どの程度の出力で電気を取り出したいのか。全国にある発電所の数だけ、その条件は異なりますが、レドックスフロー電池であれば、自然環境や現場の状況に合わせて最適な仕組みをつくることができるのです。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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