レドックスフロー電池の社会実装が、エネルギー自給率の向上にもなる
社会実装へのさらに大きな課題はコストです。現状、レドックスフロー電池はリチウムイオン電池に比べ、同じ電力量を蓄えるのに3~4倍の費用がかかります。
再生可能エネルギーの発電所を持っている事業者にとって、太陽光パネルや風力タービンは事業のメインコストですが、バッテリーはオプショナルなコストです。現状のレドックスフロー電池ほど高いとなかなか手が出ず、電池を設置する場合でもリチウムイオン電池で対応するところがほとんどです。
レドックスフロー電池のコストは、電解液、セル、タンク・ポンプなどと、3つの要素が同じぐらいかかっています。それぞれを3分の1ぐらいに落とさなければ、リチウムイオン電池と張り合えないのが実情です。
そもそも素材となるバナジウムの価格が高いのですが、バナジウムは鉄鋼材料、とくに鉄筋コンクリートに使われるため、建設需要の増加に伴って価格がさらに高騰しがちです。また、技術的な問題として、反応速度を上げるためにカーボン材料を処理することでもコストが高くなってしまうのです。さらに、イオン交換膜に使われていたフッ素系の素材も高額なうえ、環境汚染のおそれもあるため、フッ素を使わない膜の開発も求められています。
レドックスフロー電池が普及すれば、再生可能エネルギーによる発電量をより多く・より無駄が少なく利用できるようになり、2050年カーボンニュートラルの実現に近づきます。
エネルギーの貯蔵以外にも、たとえば災害時の非常用電源として、避難所に電力を送ることも可能です。北海道で地震が起こった際にも、レドックスフロー電池は破損せず充放電が可能でした。
石油、石炭、天然ガスを輸入に頼っている日本は、莫大な国富を諸外国に支払っています。太陽光などを使いエネルギーの自給率が高まることは、安全保障上でも安心ですし、国富が流出するのも防げます。日本の社会を豊かにし、皆さんの暮らしが楽になるためにも、実用化・一般化に向けて研究を進めていきたいです。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
