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2026.02.19

再生可能エネルギーの大量導入を可能にする「レドックスフロー電池」

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内部抵抗を減らすための最適な構造をめざして設計

 レドックスフロー電池は、充放電を行うセルと2つのタンク、酸化還元反応を起こす物質を液体に溶かした電解液、ポンプなどから構成されています。

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レドックスフロー電池の仕組み。セルにあるイオン交換膜が、イオン価数の異なる2種類の電解液を隔て、電解液をポンプで循環させてイオンの酸化還元反応を利用し、充放電を行う

 一般的に、イオンの酸化還元反応を起こす物質はバナジウム、液体には硫酸の水溶液、電極には小さな孔が多数あるカーボン(炭素)シートが使われています。炭素電極を介してバナジウムの状態が変わることで電子が電極に出入りします。この電子のやり取りが電流となって取り出され、交流直流変換器を経て送電線へ送られます。

 現在、レドックスフロー電池は、北海道電力や新潟県柏崎市など、少数エリアのごく一部でしか導入されていません。私たちの研究室では、産業技術総合研究所や他大学との連携、企業との共同研究も積極的に行い、レドックスフロー電池の社会実装をめざしています。

 社会実装するうえでハードルとなっていることの一つに、内部抵抗が大きいという問題点が挙げられます。電池で充放電する際には、内部の材料や構造による電気の流れにくさ、内部抵抗は必ずあります。つまり充電した電気エネルギーを100%放電できるわけではなく損失が出てしまうのです。

 内部抵抗が増える原因の一つに、反応速度の遅さが挙げられます。そのために、電極を化学的に処理してバナジウムが酸化還元反応しやすくなる工夫をします。それに加えて、液体は物質の伝わりが遅いため、バナジウムを電池内に行きわたらせるのが大変です。以上のような、反応のしにくさや物質の伝わりにくさにより余分な電圧変化が必要となり、エネルギーの損失が増えてしまうのです。エネルギーの損失分は無駄になってしまうため、実用化の面でも課題があります。

 それらの難点を改善するため、電極に使うカーボンシートの性能を高める研究を進めています。カーボン材料に0.01mmほどの小さな穴を開けて電解液を流すのですが、開ける穴をより均一にすることで電解液の流れの偏りが少なくなります。また、カーボンシートを焼成する際の温度を高くし結晶性が良くなれば、同じ面積でも出てくる電流が増えることがわかってきています。より最適な構造をめざして、作製の仕方や形状を工夫し、設計や実験を繰り返しています。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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