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#3 夫婦間のDVも児童虐待になるの?

明治大学 文学部 教授  加藤 尚子

子どもにとって、親のDVを目にすることは直接虐待を受けるのと同じ

この連載の第1回で、毎年、児童虐待相談対応件数が発表されていると紹介しましたが、同時に虐待による死亡件数も発表されます。2017年の発表では84人でした。1年間で、ほぼ4日に1人が亡くなっていることになります。こんな痛ましい事件は、早くゼロにしなくてはならないと思っています。

児童の虐待死はマスコミも大きく取上げますが、虐待を受けて成長した人のことはあまり知られていません。しかし、虐待の記憶がトラウマになり、成長してからも適切な社会生活を送れなくなったり、成長そのものが妨げられてしまうこともあります。実は、子どもにとって虐待とはものすごいダメージで、まだ物心がついていない乳幼児期でも、虐待を受けるとトラウマになることがあるのです。例えば、虐待には、「身体的虐待」、「ネグレクト(育児放棄)」、「心理的虐待」、「性的虐待」の4種類がありますが、「心理的虐待」の中に「面前DV(ドメスティック・バイオレンス)」があります。夫婦間の暴力や激しい口調の罵りなどを子どもの面前で見せると、子どもは驚き、恐れ、混乱し、直接虐待を受けるのと同じダメージを受けるのです。また、赤ちゃんなら記憶に残らないから、虐待をしても影響はないだろうなどと思ったら、大間違いです。虐待を受けることで赤ちゃんにはものすごいストレスホルモンが出ているのです。確かに、赤ちゃんがこの出来事を記憶することはありませんが、非常に不快な感覚として残ります。子どもの脳は脆弱で成長の過程にあるのに、こうした不快な感覚や恐怖を抱えたまま成長していくことになってしまいます。すると、その後に治療やケアをしても、年齢が低いときに虐待を受けた子どもほどダメージが大きく、回復が悪いのです。これは、もちろん、直接的な虐待を受けたときも同じです。

親が不幸であったら、子どもも幸せになりません。親が幸せになるということは、子どもにとってもとても大事なのです。

次回は、虐待を受けて成長した子どものケアについてお話しします。

#1 児童虐待は親が悪いから起こる?
#2 何がしつけで、何が虐待?
#3 夫婦間のDVも児童虐待になるの?
#4 虐待の影響は大人になっても続くの?
#5 子育ては家族の責任?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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