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#2 何がしつけで、何が虐待?

明治大学 文学部 教授  加藤 尚子

愛情があれば叩いてもしつけだというのは、親の思いこみ

前回は、児童虐待が起こる要因として、親自身が幼少期に虐待を受け、それが子育ての基本モデルになっているケースがあると述べました。私はそうではないから大丈夫、と思った人も多いと思います。しかし、だからといって、子育てについて正しい知識をもっているのかといえば、決してそういう人ばかりではないのではないでしょう。例えば、しつけと虐待の違いについてです。多くの親が、子どもの成長のために、愛情をもってやっているのだから、多少怒鳴ったり叩いたりしても、それは虐待ではないと思っていると思います。しかし、それは親の一方的な思いこみです。もし、子どもの身体を傷つけたり、心の成長や発達を阻害する行為や言動であれば、それは虐待なのです。

もともと、しつけの目的とは、子どもが自分で自分を律することができるようになったり、世の中のルールに則り、人と良い関係をつくって生きていける社会性や、社会適応力を身につけさせていくことであったりするはずです。では、そのための方法として、子どもを泣かせるという必要はまったくないのです。むしろ、逆効果です。怒鳴ったり叩いたりすれば、子どもも感情的になり、脳が興奮して混乱した状態になります。そのような脳では、人の言っていることを考え、ちゃんと理解することなどできません。ただ怖いからやめる、またはこれをすると親が怒り自分が嫌な思いをする、という思いが残るだけです。それがトラウマにつながることもあります。子どもに何かを学ばせるには、穏やかで落ち着いて考えることができるような状態の中で体験させる方が、よほど効果的なのです。

最近、多くの自治体では、子どものしつけ方や、ペアレント・トレーニング(親として子どもを世話し、育てる方法を学ぶトレーニング)などを開催しています。そういう場に参加すると、子育ての知識が得られるだけでなく、専門知識をもっている保育士さんがどのように子どもと接するかを見ることができたり、同じように子育てをしているママ達と交流する機会にもなります。お住まいの区役所や市役所に問い合わせて、ぜひ、参加してみてください。

次回は、虐待が子どもに及ぼす影響についてお話しします。

#1 児童虐待は親が悪いから起こる?
#2 何がしつけで、何が虐待?
#3 夫婦間のDVも児童虐待になるの?
#4 虐待の影響は大人になっても続くの?
#5 子育ては家族の責任?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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