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ワーク・エンゲージメントが低いと、メンタルヘルスの悪化を招きやすくなる。

最近、働く人のメンタルヘルスの悪化が問題視されています。うつ病になったり、会社に行くことができなくなったり、最悪の場合、自殺してしまうことも。データで見ると、働く人のメンタルヘルスの悪化は年々増えているのがわかります。そこに、長時間労働は悪というイメージが結びつき、長時間労働だからメンタルヘルスが悪化すると、短絡的に捉えてしまう傾向があります。しかし、労働に関するこれまでの研究によると、労働時間の増加とメンタルヘルスの悪化に直接的な関係があることは、実証されていません。もちろん、労働時間が長く、睡眠時間や休息時間が充分にとれない状態では心身の不調は起きやすくなりますが、では、労働時間を短くすればメンタルヘルスの悪化は起きないかと言えば、決してそうではありません。メンタルヘルスを悪化させる要因は、労働時間よりも「仕事の負荷」なのです。すごく大変な仕事をさせられているとか、仕事が順調にいかない、仕事の終りが見えない、といったことが仕事を重荷と感じさせ、そこに長時間労働などが加わると、心身ともに疲れ果て、動くこともできないような状態になっていくのです。

実は、働く人の心の健康度を示す概念があります。ワーク・エンゲージメントと言い、仕事に対する「活力」、「熱意」、「没頭」の3つが充実している心理状態を指します。つまり、ワーク・エンゲージメントが高い人ほど、仕事に対してやり甲斐を感じ、イキイキとのめり込んでいるというわけです。このワーク・エンゲージメントを世界各国で比較した調査によると、なんと、日本は圧倒的に低いという結果が出たのです。つまり、いやいや仕事をしているような状態といえるでしょう。これでは仕事を重荷に感じ、メンタルヘルスが悪化するのも無理はありません。なぜ、日本人はワーク・エンゲージメントが低いのか、その原因と、それを防ぐ手立てはないのか。それを考えることが、長時間労働是正よりも喫緊の課題ではないかと、私は思います。

次回は、ワーク・エンゲージメントと長時間労働との関係について紹介します。

#1 長時間労働を是正すればすべてが上手くいく?
#2 ワーク・エンゲージメントって何?
#3 ワーク・エンゲージメントが高いのはどんな人?
#4 会社の工夫でワーク・エンゲージメントは高くなる?
#5 仕事時間が短くなったら何をする?#5 仕事時間が短くなったら何をする?
#6 長時間労働是正がダイバーシティの推進を生む?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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