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#6 長時間労働是正がダイバーシティの推進を生む?

明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 牛尾 奈緒美

企業が強くなるために欠かせないダイバーシティ(多様性)。

政府が進める「働き方改革」には、日本の経済を強くするという意図があると思います。そのためには企業の業績の向上が不可欠ですが、少子化が進みマーケットがシュリンクする日本で、いままでと同じでは業績の向上は望めません。付加価値の高い商品やサービスを生み出していくことが必要不可欠でしょう。そのためには、硬直化した仕組みからでは難しく、多様な価値観や視点からの発想が重要です。その意味で、家庭や学校、地域とのつながりが太い女性の視点や多様な経験は貴重です。ところが、長時間労働の従業員ほど、頑張って働いている者、業績の高い者と評価する多くの企業では、性的役割分業によって子育てや家事を担っている女性は労働時間に制約があり、不利な立場に置かれやすくなっています。しかし、その社外の経験がこれからは重要なのです。これからの時代、女性に限らず、高齢者の介護など家庭の事情をもつ男性も増えてくるでしょう。若い人たちの就業観も変わってきています。そうした人たちが決められた時間内で能力を発揮できるように業務を設計し直し、また、それをきちんと評価する制度を導入していくことが企業には必要です。より多くの人が仕事に参加し、多様な意見を出し合う中で新しいものを生み出していく、そうしたダイバーシティの推進が企業には求められます。こうした意図の下に取組む長時間労働の是正であってこそ、従業員の仕事のやり甲斐、ワーク・エンゲージメントが高まり、それは一人ひとりの幸せにつながっていくものだと思います。

なぜ、長時間労働是正が必要なのか、その本質をしっかり見つめ、考えることが、いま、私たち一人ひとりに、そして企業にも求められていると思います。

#1 長時間労働を是正すればすべてが上手くいく?
#2 ワーク・エンゲージメントって何?
#3 ワーク・エンゲージメントが高いのはどんな人?
#4 会社の工夫でワーク・エンゲージメントは高くなる?
#5 仕事時間が短くなったら何をする?
#6 長時間労働是正がダイバーシティの推進を生む?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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