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ドライブレコーダーの搭載を必須に

中山 幸二 むしろ重要になってくるのは、事故原因を究明して、再発防止につなげることだと考えています。自動運転は安全に走ることを前提に開発が進められていますが、思いもしないトラブルや不具合を、いま行っている実験車ですべて明らかにすることは難しいでしょう。そこで、いま検討されているのがドライブレコーダーの搭載を必須にすることです。現在は、事故時にドライバーの主張証明として使われるケースが多いのですが、自動運転車においては、事故の記録映像が事故原因の究明に役立ち、再発防止につながると期待できます。また、レベル3の自動運転車においては、事故時に運転していたのが、人かシステムかの証明にも役立ちます。事故裁判の場合には、ドライブレコーダーの提出を義務づけることも必要になってくると考えられます。

 また、飛行機に搭載されているフライトレコーダーのように、車の走行状態をデータで残す装置も必要になってくるでしょう。現在でも、自己診断装置を搭載している車はありますが、メーカーや車種によって記録内容を異にするのではなく、基準化することが必要です。

 映像やデータで走行状態を記録する装置の搭載義務と開示義務を法制化することも、車の自動運転時代に向けての法整備の一環であると考えています。

世界基準となる法整備を目指して

 いま、世界各国が自動運転の実用化に向けてしのぎを削っています。実用化を実現するには技術開発に合わせて、その技術を社会にどう活かしていくのかを考えることが重要であり、そのための最良の法整備が、自動運転時代の世界基準となることでしょう。いま、世界最高水準の技術をもつ日本こそ、その技術を活かす法整備を推進すべき立場にあると考えています。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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