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うつ病の対処に必要な「援助希求」という能力

諸富 祥彦 諸富 祥彦 明治大学 文学部 教授

最近、うつ病が増えているといわれます。事実、厚生労働省の調査によると、気分障害患者数は1996年には43.3万人でしたが、2008年には104.1万人になっています。うつ病は自殺に至るケースもあります。自分にうつ病の疑いを感じたとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。

早めに援助を求めることは立派な能力

諸富祥彦 私は、本学駿河台キャンパスのアカデミーコモンにある心理臨床センターで、センター長を務めています。当センターでは、一般の方々の心の健康に関する悩みや相談をお受けしていますが、最近、うつ状態になり、やる気が出ないというビジネスパーソンの相談が増えています。
 うつ病には様々な要因がありますが、まじめで責任感の強いタイプの方ほど罹りやすい傾向があります。このようなタイプの方は、仕事がうまくいかないときに、「自分が悪い」、「自分のせいだ」と思い、問題を一人で抱え込み、自分の力で何とかしようと頑張ります。自分の仕事は自分できちんとこなすもので、周囲に相談したり、助けを求めることは迷惑をかけることであり、無責任なことと思っているからです。その結果、一人が頑張れる限界を超えたり、ストレスに圧し潰されて仕事が続けられなくなり会社を辞めることになれば、それこそ会社に迷惑をかけ、自分の家族にも大迷惑をかけることになります。
 そうならないようにするにはどうすれば良いか。早めに病院の精神科などに相談に行くことです。精神科に行くことに抵抗があるのなら、当センターのような機関でカウンセリングを受けてください。要は、援助を求めることです。苦しいときに援助を求めることは恥ずかしいことではありません。むしろ、耐えきれなくなるまで一人で頑張ることの方が、結果として周囲や家族に迷惑をかけ、治療も長引いて自分も苦しみます。援助を求めないことの方が恥ずかしいのです。
 これを、Help Seekig、援助希求といいます。苦しいときに援助を求めることです。これは能力であると考えてください。援助希求ができる人ほど、自己管理能力が高いのです。

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