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明治大学発、東日本大震災復興支援の今 ―震災を風化させないために―

松橋 公治 松橋 公治 明治大学 文学部 教授

学生がいることが元気の源

――率直にうかがいますが、お祭りの準備や運営をサポートすることが、復興支援につながるのでしょうか。

私自身、その点疑問がありました。果たして、これが復興支援になるのかと。しかし、そんな疑問は、現地に行ってみるとすぐに払拭されました。外からやってきた、若い学生ボランティアが祭りに参加することで、地元の人たちが活き活きしてくるのです。祭りは一気に盛り上がります。学生がいることが元気の源になっていました。福島県飯館村の方々の仮設住宅では、地元の年輩の女性から、学生が縫い物を教えてもらうというボランティアがありました。教えてもらうことがなぜボランティアなのかという声もありましたが、教えることで地元の女性たちが活き活きしてくるのです。学生が現地に行って、道を歩く姿を見るだけで元気がもらえるという被災者の方もいます。私自身、ボランティアとは何だろうと、再考する機会にもなりました。小さなことでもいいから、被災者の方々が生きがいを見出すようなきっかけになる取り組みが求められていると感じています。復興の主人公は、被災された地元の方々です。現在、私たちが実践している「寄り添う」ボランティアとは、被災者の方々が復興に向かう気持ちややる気をサポートすることと言えると思います。

復興支援で成長する学生たち

――震災復興支援に取り組んで4年、その成果をどのようにとらえていますか。

復興支援の成果は数値化できるものではありませんから、その評価は各地域の被災者の方々に委ねるしかありません。ただ、別な側面から見ると、ボランティアに参加した学生に大きなインパクトがあったと感じています。日頃、なかなか社会との接点がない学生は、被災地に赴きその現実に触れることで、今、社会は何を必要としているのか、社会は学生に何を求めているのかを感じ、考えます。ボランティア活動が、学生の意識や思考、感性を変えるきっかけになっています。現在、大学は学内だけの教育に重点が置かれつつありますが、学びの場は学内だけではありません。復興支援を通じて確実に成長している学生をみると、そのことを痛感します。学生は、被災者の方々に寄り添い、元気付ける活動を行っていますが、彼ら自身も元気をもらって帰ってきます。学生たちは、被災地で貴重な体験をさせていただいていると思っています。

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