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被害の側面ばかりが語り継がれがちな戦争の記憶。加害の側面も含めた全体像に目を向けることで、はじめて戦争の記憶を現在に、そして未来に活かすことができます。そのためには、人の記憶だけでなく、地域の記憶を活用することが必要です。

日本人に抜け落ちている戦争の記憶の一面

山田 朗 毎年8月になると、戦争の記憶を呼び起こす人は多いでしょう。今年は戦後70年の節目の年でもあり、多くの人が様々な思いをもって振り返るのではないでしょうか。
 しかし日本で、戦争の記憶が正しく継承されてきたかといえば、否といわざるをえません。それは、今日では近隣諸国との歴史認識のギャップとなって、大きな問題となっています。なぜ、そうなったのか。その原因のひとつは、戦争体験者にとって被害を受けたことは語りやすいが、加害的側面は語りにくいからです。日本では、自分たちが空襲されたことや疎開したこと、原爆によって受けた惨状は、いまの若い世代の多くの人たちにもある程度は伝わっています。しかし、日本軍が近隣諸国でどんな行為を行っていたのかはほとんど語られず、その記憶は継承されていません。ところが、日本人が空襲を受けた記憶を継承しているように、近隣諸国の人たちは日本軍から受けた被害の記憶を継承し続けています。私たち日本人にとって、70年前の戦争の被害だけでなく、日本軍が犯した加害的側面にも目を向けることは重要です。それは、近隣諸国との戦争記憶のギャップを埋め、国同士の新たな関係を構築していく土台となるとともに、戦争の異常さと愚かさを後世に伝える土台ともなるからです。
 しかし、体験者ほど語りにくい加害の記憶を、現代の私たちはどうやって引き継いでいけばよいのでしょうか。

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