明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

被害の側面ばかりが語り継がれがちな戦争の記憶。加害の側面も含めた全体像に目を向けることで、はじめて戦争の記憶を現在に、そして未来に活かすことができます。そのためには、人の記憶だけでなく、地域の記憶を活用することが必要です。

日本人に抜け落ちている戦争の記憶の一面

山田 朗 毎年8月になると、戦争の記憶を呼び起こす人は多いでしょう。今年は戦後70年の節目の年でもあり、多くの人が様々な思いをもって振り返るのではないでしょうか。
 しかし日本で、戦争の記憶が正しく継承されてきたかといえば、否といわざるをえません。それは、今日では近隣諸国との歴史認識のギャップとなって、大きな問題となっています。なぜ、そうなったのか。その原因のひとつは、戦争体験者にとって被害を受けたことは語りやすいが、加害的側面は語りにくいからです。日本では、自分たちが空襲されたことや疎開したこと、原爆によって受けた惨状は、いまの若い世代の多くの人たちにもある程度は伝わっています。しかし、日本軍が近隣諸国でどんな行為を行っていたのかはほとんど語られず、その記憶は継承されていません。ところが、日本人が空襲を受けた記憶を継承しているように、近隣諸国の人たちは日本軍から受けた被害の記憶を継承し続けています。私たち日本人にとって、70年前の戦争の被害だけでなく、日本軍が犯した加害的側面にも目を向けることは重要です。それは、近隣諸国との戦争記憶のギャップを埋め、国同士の新たな関係を構築していく土台となるとともに、戦争の異常さと愚かさを後世に伝える土台ともなるからです。
 しかし、体験者ほど語りにくい加害の記憶を、現代の私たちはどうやって引き継いでいけばよいのでしょうか。

社会・ライフの関連記事

「権利」、「法」、「自由」について、私たちは誤解していないか

2021.6.21

「権利」、「法」、「自由」について、私たちは誤解していないか

  • 明治大学 法学部 特任教授
  • 森際 康友
違憲判決を社会に活かすために必要なのは

2021.6.16

違憲判決を社会に活かすために必要なのは

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 辻 雄一郎
人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

2021.6.9

人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

  • 明治大学 総合数理学部 教授
  • 小林 稔
再生可能エネルギーを当たり前にするために必要なこと

2021.6.2

再生可能エネルギーを当たり前にするために必要なこと

  • 明治大学 総合数理学部 准教授
  • 浦野 昌一
少子高齢化ではない、少子超高齢に突入した日本社会の危機

2021.5.26

少子高齢化ではない、少子超高齢に突入した日本社会の危機

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 加藤 竜太

新着記事

2021.06.21

「権利」、「法」、「自由」について、私たちは誤解していないか

2021.06.17

受け取った“想い”を、次世代へつないでいこう

2021.06.16

違憲判決を社会に活かすために必要なのは

2021.06.10

今日の経験を、未来の自分に活かす生き方をしよう

2021.06.09

人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

人気記事ランキング

1

2021.06.16

違憲判決を社会に活かすために必要なのは

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

4

2019.07.31

万葉集に由来する「令和」に込められた、時代にふさわしい願い

5

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

リレーコラム