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農山村は消滅しない ―「田園回帰」にみる都市と農村の共生の姿―

明治大学 農学部 教授 小田切 徳美

「地方消滅」を謳った増田レポート

小田切徳美教授 ――安倍総理が「地方創生」を掲げ、少子化対策や地方対策の取り組みを始めました。どのように評価されますか。

その前に指摘しなければならないことがあります。元岩手県知事で元総務大臣の増田寛也氏を中心として作成された「増田レポート」のことです。これは数次にわたり発表されたものですが、特に爆発的に話題となるのは、2014年5月に発表された日本創成会議・人口減少問題検討分科会のレポートです。ここでは若年女性(20~39歳)の2040年人口を独自の方法で推計し、現状と比較して半減以上になる市町村を「今後、消滅する可能性が高い」と名指したことにより、注目度が一挙に高まりました。その後、レポートを所収した出版物では、「市町村消滅」から「地方消滅」へ、さらにエスカレートしています。
その直後に安倍総理は、内閣改造で石破茂氏を地方創生担当大臣に任命、「まち・ひと・しごと創生本部」が立ち上がりました。「増田レポート」から政府内の動きへ流れるように展開しており、そこに政治的意図、周到な計画性を感じずにはいられません。最初に、あえて、私の主張を言えば、地方も市町村も、そして過疎化が進んでいると言われている農山村も「消滅しない」ということです。

目的は「地方たたみ」

 ――「増田レポート」に見られる「地方消滅論」は何を目指しているものなのですか。

地方をその端からたたんでしまう「地方たたみ」に思えてなりません。今後、少子化高齢化がさらに進展していけば、人々が分散して生活するようになり、それでは高コストだという議論があります。病院や学校の統合の動きも始まっていますが、そこには効率的で安上がりの国土を作るという狙いがあります。
このような議論が目指すのは、主要地域に中核都市=コンパクトシティを形成し、農山村をはじめとした地方の人々を都市部に誘導、移住させることです。これは「地方たたみ」にほかなりません。「地方消滅論」に刺激され、一部では、消滅しつつある地方なしに、いかに効率的な国土や福祉、農業をつくり出すかという議論も始まっています。それに対しては、はっきり反論します。地方、特に農山村は、今でも「どっこい生きている」のです。

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