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2015.01.01

農山村は消滅しない ―「田園回帰」にみる都市と農村の共生の姿―

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都市と農村の共生社会への岐路

 ――今後、農山村に対して国民はどう向き合えばいいのでしょうか。社会への提言をお願いします。

かつて都市と農山村は対立する構図でした。そしてこの50年で過疎化と東京への一極集中が進みました。「地方消滅論」や「地方たたみ」の議論に対抗するかのように活発化する「田園回帰」の現実は、私たちの社会の大きな岐路を示唆していると考えられます。成長路線を掲げ「地方たたみ」を進めながら、「世界都市TOKYO」を中心とする社会を形成するのか。そうではなく、「田園回帰」を促進しつつ、どの地域も個性を持つ都市と農村社会が共生する社会を構築するか。その分かれ道が私たちの目の前にあります。今までの半世紀に対して、新しい半世紀には、どのような社会を創造していくのか、その国民的議論が今求められています。
マザー・テレサは「愛の反対は憎しみではない、無関心である」と言っています。都市住民の多くが、農山村に無関心であった時代が長く続きました。今、人々の関心が農山村に向い始めていますが、さらなる国民的関心と真剣な愛ある議論が必要とされています。最後にもう一度言います。農山村は消滅しません。

――本日は、ありがとうございました。

※掲載内容は2015年1月時点の情報です。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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