明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

原発を不要にした社会から、さらに永続可能な社会へ

大江 徹男 大江 徹男 明治大学 農学部 教授

東日本大震災が起きた2011年の夏は、電力の供給が不足するのではないかと大騒ぎになりました。あれから6年が経ち、最近は政府が節電要請を出すこともなくなりました。国内の原発はほとんど稼働していない状況ですが、なぜ、電力供給が問題視されなくなってきたのでしょう。

劇的に下がったピーク時の電力需要

大江 徹男 2011年、東日本大震災が起こった後、電力の供給が不安視され、厳しい計画停電が実施されました。多くの方が節電や省エネに必死に取組んだのではないでしょうか。そして、2017年4月現在、東京電力管内では原子力発電所が1基も稼働していませんが、首都圏では以前ほど必死に節電や省エネに取組むということはなくなっています。政府も、節電要請を出すことはなくなりました。なぜなのか。実は、電力消費量が大幅に下がっているからです。電力を安定供給するためには、いわゆるピーク時の最大電力需要対応が重要です。東京電力管内の最大電力需要は、震災直前の2010年の夏で5999万キロワットでしたが、震災後には5000万キロワットを下回るようになり、2016年には4660万キロワットにまで減少しました。この要因についてはまだ精査中ですが、おそらく、節電方法が、電気を消すとかエアコンの設定温度を上げるとか、いわば2011年夏に見られた原始的な節電、省エネ方法から進化し、人間の管理をそれほど必要としなくなったためと考えられます。具体的には、LEDや高効率熱源機等の省エネ効果の高い機器やBEMS(ビルエネルギー管理システム)やHEMS(ホームエネルギー管理システム)等の建物全体を統括する電力監視システムの導入が積極的に進められてきました。1000万キロワットといえば、2010年の東京電力の最大電力需要のうち、原子力発電所が発電した電力に匹敵します。つまり、私たちはすでに、原発が稼働しなくても十分に快適な生活スタイルへの移行に、成功しているといえるわけです。

社会・ライフの関連記事

パンデミックを人類史と政治から見ると、見えてくるのは…

2021.7.14

パンデミックを人類史と政治から見ると、見えてくるのは…

  • 明治大学 政治経済学部教授
  • 重田 園江
「権利」、「法」、「自由」について、私たちは誤解していないか

2021.6.21

「権利」、「法」、「自由」について、私たちは誤解していないか

  • 明治大学 法学部 特任教授(2021年3月退任)
  • 森際 康友
違憲判決を社会に活かすために必要なのは

2021.6.16

違憲判決を社会に活かすために必要なのは

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 辻 雄一郎
人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

2021.6.9

人と機械の関わり方から、人と人のコミュニケーションを考える

  • 明治大学 総合数理学部 教授
  • 小林 稔
再生可能エネルギーを当たり前にするために必要なこと

2021.6.2

再生可能エネルギーを当たり前にするために必要なこと

  • 明治大学 総合数理学部 准教授
  • 浦野 昌一

新着記事

2021.07.30

人が言葉を話せるのは当たり前、ということからわかること

2021.07.27

新たな視点で社会や物事を捉えよう

2021.07.21

日本の「多文化共生」という概念を見直す時が来ている

2021.07.15

これまでの人生を振り返り、初心を思い出そう

2021.07.14

パンデミックを人類史と政治から見ると、見えてくるのは…

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

3

2021.07.21

日本の「多文化共生」という概念を見直す時が来ている

4

2020.06.10

書店が本の価格を決めたら、本はもっと売れる!?

5

2018.01.26

#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か?

リレーコラム