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「イスラームは危ない!!」を考えてみよう

明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授 横田 貴之

最近、イスラームは国際テロを起こす元凶のようなイメージが強くなっています。なぜ、彼らはそんなに暴力的なのか。それは、イスラーム教にはジハードという暴力を肯定する教えがあるためだ、と思っている人も多いようです。しかし、それは正解でもあり誤解でもある、複雑な問題なのです。

情報の少なさと偏りから生まれているイスラーム・フォビア

横田 貴之 イスラーム過激派によるテロがこれほどにまで世界の耳目を広く集めるようになったのは、2001年のアメリカ同時多発テロからです。つまり、ここ10数年の間に、イスラーム=テロというイメージがすっかり定着してしまったのです。確かに、中東地域では1970年代から、例えば、パレスチナ・ゲリラのような存在があり、パレスチナの大義や民族主義を掲げ、武装闘争を行っていました。しかし、それらは祖国の解放や独立を目指す闘争や、国内紛争や域内紛争で、特に、日本人にとっては遠い他国の出来事でした。それが1990年代以降のアル・カイーダの台頭や、2010年代の「アラブの春」後の混乱に乗じて勃興したイスラーム国(IS)など、イスラームを掲げる過激派がテロ事件を起こすようになりました。その中で、日本人が巻き込まれたり、あるいは人質になったり、殺害される動画や画像が公開されると、イスラームはテロの集団であり、怖い組織であるというイメージが形成され、定着したのです。しかし、イスラーム過激派は、もちろん極めて少数派です。大多数のイスラーム教徒は平和を願う、私たち日本人と同じ人々です。頭では、そんなことはわかっていると思っても、イスラーム・フォビア(嫌悪)をもつのは、イスラームの情報量があまりにも少なく、私たちがイスラームのことを知らないことにも一因があるのではないでしょうか。

 実は、私は20年ほど前にエジプトで、お前は「日本赤軍」のメンバーか、と言われて驚いたことがあります。1970年代に日本赤軍の活動が世界的に報道されていたことが、このエジプト人の発言の背景にあります。当時でも、日本から遠い中東では、「日本人=テロリスト」と思う人がいたのです。これを笑い話と言えるでしょうか。いま、私たちの中には中東出身の人やイスラーム教徒を見ると、テロリストとか過激派だと思い、怖がる人もいます。それは、彼らに関して多様な情報がなく、極端な限られた事例ばかりが情報として溢れているためです。それによって私たちはバイアス(思い込み、偏見)をかけられ、それ以上彼らを知ろうとしない思考停止になっている人もいるかもしれません。それが、近年、世界的に起きている自国優先主義や排他的行動につながっているとしたら、由々しい問題です。

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