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知らずに思考停止であることが一番怖い

 イスラームが歩んだ歴史的背景を知るだけでも、イスラームの中から欧米を敵視する過激派が生まれてくる一因、また、そうした過激思想や行動を一般のイスラーム教徒の大部分は共有していないこともわかってくると思います。

 最近、留学先で出会ったサウジアラビア人が自分と変わらない普通の人だった、と振り返る学生や、イスラーム教徒がアルバイト先の仲間にいる、と言う学生もいます。彼らは、実際のイスラーム教徒の顔を見ることで、自分たちが知らず知らずのうちにバイアスをかけられていたことに気がつきます。イスラーム・フォビアは、イスラーム系移民排斥を主張する政治家だけによって形成されるのではなく、私たちの身の回りの環境、つまり極端な事例にしか触れることのできない状況によって積み上げられ、知らない間につくられるものでもあります。大切なのは、多様な情報を知ろうとすることです。もちろん、知ったからといってイスラームのすべてを肯定する必要もありません。拒否反応があったり、やはり無関心であることもあるでしょう。それでも、何も知らずに偏見をもっていたり、思考停止状態であるよりも、格段に良いと思います。いま、イスラーム教徒は、日本国内に10万人以上、世界には16億人いるといいます。イスラームに触れるチャンスはたくさんあると思います。まず、知ろうと努力することが重要です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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