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法律は「物語」からできている!?

小林 史明 小林 史明 明治大学 法学部 専任講師

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人は誰でも平等という概念は、いまでは当たり前のことと思われています。一方で、人はひとりひとり能力も違えば、知識や経験も違います。それでも、一括りに平等と捉えることを前提に、民主主義国家の法は構築されてきました。そこには、私たちがそう思うように導く「物語」があるのです。

人をカテゴリ化することによって作られる「平等」

小林 史明 法はフィクションからできている、と言うと驚かれる方が多いと思います。法は、現実に則して適用される条文によって構成されている、と思われるからでしょう。

 でも、当然、人は能力も、知識も経験も、千差万別です。それが現実ですが、法はそれを、いわば均して、通常人とか合理的な人として一律に扱うことが前提になっているのです。

 例えば、スマホの契約をするとき、販売員に提示されたプランをすべて理解し、自分に最適な内容のものを選べる人もいれば、販売員の説明が理解できず、言われるままに契約する人もいます。

 でも、法律上は人は平等であり、取引きに当たって、自由に主体的に判断し、取引きをしたと扱われます。当然、成立した取引きに対する責任も負うことになるわけです。

 ところが、契約後にトラブルになるケースが続出し、社会問題化しました。そこで、契約の内容を理解し、判断しているのか、ひとつひとつチェックする規定が設けられるようになりました。これは、スマホだけでなく、金融商品などでもそうです。

 これは、消費者保護という観点からは良いことです。わかりやすくなりました。でも、いわば均しのレベルを下げたということで、チェックなどされなくても理解できる人にとってはうざったいことです。

 このように、法は、人々の千差万別な能力を区分、カテゴリ化して、なんらかの基準で平等と見なすというフィクションによってできているということです。

 法がこうした構造になっているのは、もちろん、人ひとりひとりの本当の能力を調べて、それに応じた対応で取引きしようとすれば、大変なコストと時間がかかるという現実があるからです。

 しかし、それにもまして大きいのは、なんらかの「平等」が良いことであると信じられていることです。人に対して、能力や個性に応じていちいち見方を変えるのではなく、みんな等しい人と見ることが正しいという価値観が、いまの私たちに普及しているからです。

 でも、それはなぜなのでしょう。

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