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企業に囲い込まれる消費者から、選択する消費者へ

宮田 憲一 宮田 憲一 明治大学 経営学部 准教授

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近年、EUを中心に、デジタルプラットフォーマーと言われる企業の活動に対する規制が強まり始めています。問題視されているプラットフォーマーの活動は、実は、私たち消費者に、従来にない利便性をもたらし、生活を変えてきたものでもあります。それがなぜ、規制の対象となってきたのでしょう。

19世紀末から始まった大企業の形成

宮田 憲一 アメリカで大企業と呼ばれるような現代企業(the modern business enterprise)が現れ始めたのは、19世紀末から20世紀前半にかけてです。それは、多数の事業および複数の職能を備えていて、かつ、内部組織を発達させた経営階層組織によってそれらを管理する企業のことです。

 簡単に言えば、経営資源を統合して効率的に事業の多角化を進め、それによって顧客を増やし、売り上げを伸ばして収益を高めていく、というビジネスモデルです。これによって企業は大きく成長していったのです。

 その背景には、100年前は、欧米の製造業が世界の中で抜きん出ていたことがあります。つまり、日本をはじめ世界各国は欧米の企業が生産するレベル、品質のものを大量に作れなかったのです。

 それによって、アメリカは自国の巨大な市場を他国の企業に荒らされることなく確保するとともに、輸出も伸ばしていくことができました。

 ところが、戦後になると、各国が技術力や経済力を高めていきます。特に、ものづくりに長けた日本は欧米以上の製品を作ることができるようにもなり、1980年代になると世界を席巻するようになります。

 さらに、アジアや南米をはじめ各国の企業も発展し、同じようなレベルの製品を世界中、どこでも作ることができるような状況を迎えます。これは、人類史上なかったことで、まったく新しい状況であると言えます。

 日本企業が世界を席巻した頃までは、100年前から続く企業成長の戦略は有効でした。

 しかし、世界のどこで作られる製品もある程度均質的であるという新しい状況になると、その戦略に基づいた企業成長が難しくなってきたのです。

 例えば、顧客を増やすためには、価格競争に巻きこまれることにならざるを得ないわけです。

 しかし、20世紀末にICTが飛躍的に発展し始めると、さらに、新たな状況が生まれてきます。その後、プラットフォーマーと呼ばれるようになる企業が現れてくるのです。

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