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「地域創生」の基点は民俗文化にある ―伝統芸能や祭り行事と地域力の関係からの提言―

居駒 永幸 居駒 永幸 明治大学 経営学部 教授

何よりも“生活の声”を聞くこと

居駒永幸教授 東京一極集中が進み、自治体半減を予測するレポートも出る中、政府もいま「まち・ひと・しごと創生本部」を作り、地方創生への取り組みをスタートさせています。私は政治や行政は専門外ですが、地域の年中行事が姿を消し、村落共同体が崩壊し、地方と大都市との一元化が進んでいる現状を非常に憂慮しています。
専門の民俗研究の立場からすると、地方や地域が元気になるためには、それぞれの地域の人々の“生活の声”をよく聞き、その習慣や風俗そして行事・祭事など民俗文化を尊重することが大切だと思っています。民俗文化は、いわば地域のアイデンティティです。民俗は生活であり生活様式ですから、気象状況を含む地理的条件や歴史的な条件などによって形成されたその地域のアイデンティティが何かを見定めて、それをベースに創り上げていかないと成功しないのではないでしょうか。
その意味では、この場合、はじめて生み出す意の「創生」よりも、つくりあげることに重点がある「創成」の方がふさわしいのかもしれません。ゼロから生み出すといった感覚で、まったく新しいものを持ってきて置き換えるようなことでは成功しないでしょう。これは地域がまとまって力を発揮できる「地域力」の違いとも関係します。そこに生活者がおり、地域ごとに事情は違うのですから。
私の専門領域は、民俗学ともう一つ、記紀つまり『古事記』『日本書紀』や『万葉集』といった古代文学です。この二つがどうしてつながるのか。ひと言で言えば、古代文学を民俗学的視点から解明しようというのが私の研究方法です。民俗学は生活の学問。一方、記紀や万葉の中には生活の歌がたくさんあります。とくに「歌謡」と呼ばれ、定型(五・七音)ではない四・六音など自由形式の歌には生活実感から湧き出てくる表現が多いのです。つまり「人々の生活」をキーワードにこの二つは結びつきます。古代文学と民俗学は、まったく別ジャンルのようですが、私の中では強くつながっているのです。

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