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2021.08.27

人は植物と共に生きている、いや、人は植物に生かされている

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人は植物に生かされている

 植物の研究が進む一方で、光合成を人工的に行う研究も進められています。植物に倣って、太陽光をエネルギー源として、大気中の二酸化炭素を物理化学的に吸収して固定し、貯蔵できるエネルギー(水素やギ酸、アルコールなど)を得ようということです。

 現在、太陽光など、自然エネルギーだけで人工光合成を行うことが実際にできつつあります。一方で、解決すべき問題も残されていて、今後の研究開発に期待が高まります。

 「脱炭素」の気運が高まり、たとえばガソリン車から電気自動車への転換が急速に進みつつあります。ただ、一見「クリーン」にみえても、製造や輸送にかかるエネルギーを化石燃料から得ているうちは、「二酸化炭素排出ゼロ」にはなりません。私達が植物から学べることは、まだまだ沢山あります。

 最近、都会のアスファルトの隙間から芽を出す植物が話題になることがあります。植物は繊細でありながら、一方でそのようなたくましさもあります。彼らが生きていくその仕組みを、私たちはまだ解明し尽くしていないのです。

 でも、地球や生物の歴史を見れば、植物がその基盤になっていることがわかります。人類がこれからもこの地球で存続していくとしたら、それは、植物を知り、そこから学んだときだと思います。

 みなさんも、周りを見回してみてください。植物が身近にいることがわかると思います。

 コンクリートの隙間から芽を出しているものもいれば、公園で日陰をつくっている樹もあるでしょう。地方に行けば、深い森が残っているところもあります。もちろん、自宅の部屋や庭で植物を育てている人もいると思います。私たちは、植物と共に生きているのです。

 人は、植物を食料として直接食べるだけでなく、実に様々な恩恵を受けています。それは目に見えず、あまりにも当たり前になっているので、私たちは忘れがちです。それでも、生き物として心の奥底でそれを知っているから、私たちは植物と共に生きようとしているのかもしれません。

 つまり、私たちは植物に生かされているのです。それを目に見える形にしたいという思いで、私たち研究者は取り組んでいます。


英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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