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脱炭素社会に舵を切った私たちの新しい生活

辻 昌美 辻 昌美 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 特任教授

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いま、地球温暖化を抑えようと、日本を含め、世界中の国々が様々な取り組みを行っています。例えば、脱炭素社会の構築もそのひとつです。しかし、こうした取り組みは国に任せておけば良い、ということではなく、私たち市民ひとりひとりが関わっていかなければ実現は難しい問題なのです。

世界中が強い危機感をもっている地球温暖化

辻 昌美 地球温暖化がもたらす影響は、すでに様々な形で語られているので、多くの人が知っていると思います。

 例えば、日本では、近年、異常気象や大型台風が増えていますが、それは海の表面温度が高いことが一因と考えられています。つまり、地球温暖化の影響であり、それは、私たちの日常生活にも及んでいるということです。

 こうした現象は日本に限ったことではなく、世界中で起こっており、各国が危機感をもち、その対策に取り組んでいます。例えば、2015年に採択されたパリ協定には、196もの国と地域が参加しています。

 そこで掲げられている大きな目標は、「世界共通の長期目標として、産業革命前からの地球の平均気温上昇を2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求」するというものです。

 なぜ、産業革命の時期が基準となっているかと言えば、産業革命による工業化によって、人類による化石燃料の消費量が増大したからです。それは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出増大を招きました。つまり、現在起きている地球温暖化は、人為的な活動によって進行したと言えるわけです。

 この状態が続くと地球はどうなるのか。例えば、産業革命などの工業化以降、人間活動は約1℃の気温上昇をもたらしました。わずか1℃と思われるかもしれませんが、それによって北極圏の海氷は減少していますし、先に述べたように、異常気象や強大な台風が起きやすくなっています。

 このままの進行速度でいくと、2030年から2050年には地球の平均気温の上昇は1.5℃に達すると考えられ、その後もさらに上昇していくことになります。

 すると、南極の氷やツンドラ地帯の永久凍土も影響を受けるでしょう。永久凍土には温室効果ガスであるメタンが封じ込められているので、これが放出されると地球温暖化に一層拍車がかかることになります。海面上昇が進行し、現在の低地の多くが水没することになるかもしれません。

 さらに、いま、恐れられているのが、ティッピング・ポイントです。ティッピング・ポイントとは、少しずつの変化が急激な変化に変わってしまう転換点を意味します。

 つまり、地球温暖化が少しずつ進行するとともに様々な気候変動や環境の変化が起きていますが、あるレベルを越えると、不可逆性をともなうような大規模な変化が生じる可能性があるということです。

 例えば、ある日、グリーンランドの氷床が崩壊してしまうようなことが起こるかもしれず、それは海面上昇など様々な影響を及ぼすとともに、何千年も元に戻すことはできないと評価されています。

 そこで、パリ協定によって、地球の平均気温上昇を長期的に1.5℃に抑える努力を追求することが、世界の共通認識となったのです。

 そのための具体策は各国に任されていますが、日本は、2050年までに温室効果ガスの排出を80%削減する長期目標を2016年に地球温暖化対策計画で示し、2018年に策定された第5次環境基本計画の中でも言及しています。

 2020年10月26日の菅総理大臣による国会での所信表明演説ではさらに進んで、我が国が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されました。

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