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誰もが生きやすい社会の構築に向けて ―経済政策からの考察―

飯田 泰之 飯田 泰之 明治大学 政治経済学部 准教授

「アベノミクス」をどう評価するか

 現在、政府はデフレーションからの脱却を目指した経済政策を積極的に推進している。それが「三本の矢」に象徴される、いわゆる「アベノミクス」だ。私個人としては、好感を持って受け入れている。特に「第一の矢」である大胆な金融政策は高く評価できる。2%の物価目標を掲げたインフレターゲットを導入し、目標達成まで無制限の量的緩和政策をとることを決定したものだ。一部ではインフレや金利上昇を懸念する向きもあるが、ほとんどの先進国においてもすでに実施されている政策であり、2%というインフレ率は先進国では平均的な値といってよい。
 日本は周回遅れでようやく着手したが、これはデフレーション脱却に向けた決め打ち的政策といえるもので、過去のデータから言っても、1~2年後には生活者にもデフレ脱却、景気好転の実感につながると考えられる。「第二の矢」である景気対策としての財政出動は借金を増やすだけで経済効果は乏しいと思われるが、金融緩和の効果が出るまでのつなぎの政策として致し方ない側面があることも否めないだろう。
 そして「第三の矢」である。持続的な経済成長のためには強い経済への転換を目指す成長戦略も極めて重要である。ただ懸念されるのは、成長戦略をまとめた「産業競争力会議」内に、規制緩和による競争促進を主張するメンバーと特定の産業分野を政府が戦略的に育成する「ターゲティングポリシー」を主張するメンバーが混在していることだ。私は成長戦略の肝は産業政策でなく「競争政策」であると考えるため前者を支持するが、いずれにせよ安倍首相は成長戦略の進むべき方向性を決断・選択し、そして継続していくことが重要となるだろう。

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