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がんを分子レベルで早期診断するシステム開発が始まっている

石原 康利 石原 康利 明治大学 理工学部 教授

課題の克服を目指す私たち研究室の取り組み

 磁性ナノ粒子イメージングの大きな課題は2点あります。ひとつは、検出の装置が大型になること。もう1点は、生体の安全性の確保です。

 体内の磁性ナノ粒子を検出するためには、体の外から磁場をかけるのですが、全身を調べようとすれば、それだけで、いまのMRIの装置と同じくらいの大きさが必要になるといわれています。それに、磁場を作るコイルや電源が必要で、全体として非常に大きな装置になってしまうのです。

 ドイツの研究グループは動物用の小型のシステムを組み上げ、動物実験で有効性を確認し始めています。しかし、それを人に応用するには装置の大型化がネックとなり、進んでいないのが現状です。

 そこで、アメリカの研究グループは、人の頭部だけを調べる装置を作り、実験を行っています。しかし、やはり、全身をカバーする課題はクリアされていません。

 もうひとつの生体の安全性の問題とは、磁場をかけると生体に刺激が加えられたり発熱することです。

 実は、磁性ナノ粒子のがん医療への活用は、治療法が先に研究されていました。磁性ナノ粒子が溜まったところに電磁波を当てると、そこが極端に熱くなるのです。その熱でがん細胞を死滅させる治療法です。それほど、電磁波のエネルギーは熱エネルギーになるのです。

 磁性ナノ粒子が溜まっていない通常の細胞も、そこまで熱くはなりませんが、やはり、発熱が起こります。そうした発熱が生体に影響を与える可能性があるわけです。

 こうした課題を克服するために、私たちの研究室では、まず、磁性ナノ粒子を検出する装置をコンパクトにして、それでも正確なデータが取れる方法や、そのデータから正しい画像を作る技術の開発を進めています。

 また、磁性ナノ粒子の検出に磁場をかけるのではなく、超音波を使って磁性ナノ粒子を揺らし、揺れる磁石が発する信号を受信してその位置を探り当てる技術の開発も進めています。

 私たちの研究も、実用化はまだまだ先のことになると思いますが、各国の研究機関とともに、様々なアイデアや知恵を絞り、試行錯誤を重ねていくことが、新たな発見や技術の進歩に寄与することに繋がると考えています。

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