明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

人型ロボット、ヒューマノイドが私たちを救う!!

橋本 健二 橋本 健二 明治大学 理工学部 准教授

>>英語版はこちら(English)

最近、人型ロボット、いわゆるヒューマノイドの開発が注目されています。一時は話題になった二足歩行のロボットですが、機能面でみれば人型である必要はないため、実用性に疑問を持たれる傾向にありました。ところが、人型であることのメリットや機能が見直されているのです。

災害対応に期待される脚型ロボット

橋本 健二 ロボットと言うと、東日本大震災のときの原発事故の際に、人にはできない作業を行ったことがマスコミなどで大きく報じられた、クローラーベルト(いわゆるキャタピラのような走行装置)で走行するロボットをイメージする人が、最近では多いのではないかと思います。

 一方で、以前は脚光を浴びていた二足歩行の人型ロボットは、求められる機能と実際の技術水準との乖離が大きく、実用性に疑問を持たれる傾向にありました。

 その状況が変わってきたのが、まさに、クローラー型ロボットの活躍が報じられた東日本大震災です。

 原子力発電所の事故によって、まず、災害対応ロボットの有用性がハッキリと認識されました。

 実際、高放射線環境や狭隘複雑環境など、人が活動できないような極限環境や、災害直後や様々な二次災害のリスクのある環境、また、強風、豪雨、高所など、人には危険な環境。こうした環境下での作業の迅速化、効率化において、ロボットは非常に有効です。

 特に、近年の日本は、100年に一度と言われるような自然災害が頻発しています。つまり、災害対応ロボットに対する注目や期待は、非常に高まっているのです。

 しかし、その期待に応えるためには、現状のクローラー型ロボットでは課題があります。

 例えば、クローラーを使って階段を昇ることは想定されていて、比較的上手く昇れるのですが、降りるのが難しいのです。クローラーが想定通りに引っかからないと、階段を一気に滑り落ちてしまうこともあります。

 さらに、カーブを描いているらせん階段だと、昇るのも難しくなります。

 また、がれき路を進むことも想定されていますが、想定以上のがれきがあると立ち往生したり、路面に穴などがある場合、上手く迂回することができないと進むことができません。

 さらに、乗り上げたり、ぶつかって壊してはいけないパイプなどのものがある場合も、迂回しなくてはいけなかったのです。

 もし、これが人であれば、らせん階段の昇り降りも当然できますし、穴や障害物があれば、またいだり、飛び越えて行くことができます。つまり、運動能力において、クローラー型ロボットよりも人の方が勝っているため、様々な状況に対応できるわけです。

 では、ロボットに人と同程度の運動能力をもたせるにはどうしたら良いか。その答えのひとつが、脚型ロボットであると、私は考えています。

 すなわち、人のような脚をもち、腿部分を大きく上げたり、膝部分を大きく曲げたり、ジャンプもする、ダイナミックな動きのできるロボットであれば、想定外の状況にも対応がより可能になるはずです。

 実は、日本の東日本大震災を契機として、アメリカも災害対応ロボットの開発に本腰を入れ、国防総省の研究開発機関がロボットのコンペティションを開催しました。

 それは、福島第一原子力発電所の事故を意識して設定されたタスクをクリアするロボットを開発するというもので、コンペティション自体は、開発されるロボットの形態を指定していなかったのですが、最も多く使われたハードが、脚型のヒューマノイドだったのです。

 すなわち、脚型ヒューマノイドは、人の住環境における災害を想定としたタスクに対して、最も適した解のひとつである、と言えるのだと思います。

IT・科学の関連記事

アインシュタインはいかにしてアインシュタインになったのか

2022.6.17

アインシュタインはいかにしてアインシュタインになったのか

  • 明治大学 政治経済学部 准教授
  • 稲葉 肇
民事裁判のIT化は迅速化のためだけではない

2022.5.25

民事裁判のIT化は迅速化のためだけではない

  • 明治大学 法学部 准教授
  • 栁川 鋭士
日本の折紙が世界にイノベーションを起こす

2022.4.20

日本の折紙が世界にイノベーションを起こす

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 研究特別教授
  • 萩原 一郎
あなたが見てるものは、実際のものではなく、錯視かもしれない

2022.4.6

あなたが見てるものは、実際のものではなく、錯視かもしれない

  • 明治大学 研究・知財戦略機構 先端数理科学インスティテュート 研究特別教授
  • 杉原 厚吉
ダークウェブで暗号資産が通貨になっている理由を考えると…

2022.3.18

ダークウェブで暗号資産が通貨になっている理由を考えると…

  • 明治大学 商学部 准教授
  • 土屋 陽一

新着記事

2022.07.06

補助金を巡る意識改革が必要

2022.07.04

スマート社会の実現を私たちも考えよう

2022.06.28

コミュニケーションを第一に、家族を大切にしよう

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

2022.06.21

地道でも “源”から、理解するようにしよう

人気記事ランキング

1

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

4

2022.07.06

補助金を巡る意識改革が必要

5

2018.01.26

#3 日本国憲法は「押しつけられた憲法」か?

連載記事