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人型ロボット、ヒューマノイドが私たちを救う!!

橋本 健二 橋本 健二 明治大学 理工学部 准教授

ロボットの各要素技術は人の能力を超えている

 脚型や人型ロボットが、また、注目されるようになってきた背景には、ロボットの各要素技術の進歩もあります。

 例えば、人の五感(視覚、臭覚、聴覚、味覚、触覚)に相当するセンサ技術の向上。また、パワー密度の向上によるアクチュエータ(駆動)の性能アップ。

 コンピュータの処理速度が大幅にアップしたことにより、コントローラの性能も格段に向上しました。さらに、いわゆる深層学習(ディープラーニング)によるAIの進歩もあります。

 その結果、例えば、従来のセンサやセンサ情報の処理方法では、路面にがれきがあることは判別できますが、その路面が滑りやすいかどうかは判断できませんでした。

 しかし、最近の技術では路面の性状も確認でき、そのデータから、ディープラーニングを重ねたAIは滑りやすさを判断することができるようになってきているのです。

 つまり、センサや駆動力など、ひとつひとつの要素レベルで言えば、人と同等、さらに超える性能になってきています。いまの課題は、それらをシステムインテグレートすることなのです。

 それによって、ロボットとして人を超える能力を発揮させることができるようになるわけです。

 しかし、それが難題です。例えば、一本の脚だけでも6~7個のモーターを使います。すると、脚型ヒューマノイド全体では30~40個のモーターを使うことになります。

 それらをすべて適切に制御するシステムを作るのは非常に難しいのです。

 ロボットを開発するには、まず、要求仕様書を定めます。要はタスクですが、それがシンプルなものであれば、専用機として比較的楽に作ることができます。

 例えば、すでに実用化されているお掃除ロボットなどがそうです。このロボットは、箒とちり取りによる人の掃除を超えている面もあります。

 しかし、一方で、平らな床面でゴミを集め回るというタスクに特化したお掃除ロボットは、その想定外のことに出遭うと停止してしまいます。

 お掃除ロボットとしてはそれでも良いのですが、災害対応ロボットとしては適切ではないことになります。

 しかし、要求仕様書のレベルが高く、開発が非常に難しいことは、脚型ヒューマノイドの可能性がそれだけ大きいことを表していると思います。

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