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日本がアメリカの大統領選挙に学ぶこと

明治大学 政治経済学部 教授 海野 素央

戸別訪問は日本でも解禁すべき

海野 素央クリントン候補に「戸別訪問を行ってコミットメントカード(お約束カード)を集めてきました」と報告すると、同候補は笑顔で「一緒に写真を撮りましょう」と語った(@中西部アイオワ州デモイン歴史博物館) 実は、各陣営の運動員には高校生や大学生などの若者がボランティアで参加しています。候補者の政策に惹かれて参加するケースもありますし、フィールドワークとして参加する者もたくさんいます。アメリカの大学では、インターンシップの中に選挙運動があり、参加してレポートを書き、評価されれば単位が取得できる制度になっているのです。学生はこうした制度に背中を押される形で選挙活動に参加し、戸別訪問を行ない、クリントン氏のような“異文化連合軍”や、トランプ氏のような“反異文化によるナショナリズム”に触れ、リアルな政治や政策を現場で学んでいるのです。トランプ氏のような考え方を政策として掲げることができるのは、民主主義であるからこそでもあり、その政策を是とする支持者の生の声に触れ、自らはどう考え、判断するかによって、学生も民主主義を身をもって学んでいくのです。

 さらに、戸別訪問はコミュニケーションのスキルを磨く重要な機会にもなっています。昨今、日本でも議論や交渉のスキルの習得が重視され、ディベートを授業に取入れる動きもありますが、アメリカの学生はこうしたスキルを選挙対策事務所で指導され、実社会で磨く絶好の機会を与えられるわけです。将来、こうして育ったアメリカの政治家や外交官、企業人とTPPのような国際交渉の場で出会ったらどうでしょう。学生の頃からコミュニケーションを説得の科学として学んできたアメリカの政治家や外交官、企業人に日本は太刀打ちできるのでしょうか。

 民主主義の原点である話し合いと説得。それをコミュニケーションの科学として捉え、そのスキルを磨く機会。それが戸別訪問です。学生にとっては貴重なフィールドワークともなる選挙活動の戸別訪問は、日本でも解禁すべきだと考えています。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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