
2023.02.03
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
ドイツで、20~30代のアナーキストたちが古い建物を買い取り、共同住宅にして管理、運営する活動が増えており、そのような建物はすでに100ヵ所以上あります。
アナーキストたちは、そこに生活する全員が意見を出し合ってルールを決めていきます。意見が対立しても、全員が納得する落としどころを見つけるまで、とことん話し合います。
一度決めたルールも、やってみて問題があるという意見が出れば、また話し合います。要は、直接民主制による自治なのです。
自治は、自分たちのことは自分たちで決める、という営みですが、アナーキストにとっては、住民以外の人たちや行政などによって口出しされること、つまり支配されないための工夫です。
それが居心地の良さに繋がっているのか、私が調査に訪れたところでは、パーティーやイベントのような催しがあると、近隣の住民や高齢者などもやって来ます。
そうした人たちを、このアナーキストたちは拒まないというより、構いません。みんな、その時間を自由に楽しみます。多様な人たちがフラットに繋がっていることが感じられます。
また、彼らは、ドイツにやって来て難民申請をし、認可を待っている異国の人たちに、無料で食事を提供する活動もしています。
見ず知らずの人たちに、なぜ無料で食事をふるまうのでしょうか。同じ人として、難民の立場にいることも、それを放っておくことも許せないことだからと彼らは言います。
多様な人たちと共に生きる、自分たちのことを自分たちでやる。それが彼らの自由であり、その生き方がアナーキズムだということがわかります。