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アナーキズムは、すべての人の、ひとりひとりの中にある

田中 ひかる 田中 ひかる 明治大学 法学部 教授

ドイツの若者が始めているアナーキズムの活動

 ドイツで、20~30代のアナーキストたちが古い建物を買い取り、共同住宅にして管理、運営する活動が増えており、そのような建物はすでに100ヵ所以上あります。

 アナーキストたちは、そこに生活する全員が意見を出し合ってルールを決めていきます。意見が対立しても、全員が納得する落としどころを見つけるまで、とことん話し合います。

 一度決めたルールも、やってみて問題があるという意見が出れば、また話し合います。要は、直接民主制による自治なのです。

 自治は、自分たちのことは自分たちで決める、という営みですが、アナーキストにとっては、住民以外の人たちや行政などによって口出しされること、つまり支配されないための工夫です。

 それが居心地の良さに繋がっているのか、私が調査に訪れたところでは、パーティーやイベントのような催しがあると、近隣の住民や高齢者などもやって来ます。

 そうした人たちを、このアナーキストたちは拒まないというより、構いません。みんな、その時間を自由に楽しみます。多様な人たちがフラットに繋がっていることが感じられます。

 また、彼らは、ドイツにやって来て難民申請をし、認可を待っている異国の人たちに、無料で食事を提供する活動もしています。

 見ず知らずの人たちに、なぜ無料で食事をふるまうのでしょうか。同じ人として、難民の立場にいることも、それを放っておくことも許せないことだからと彼らは言います。

 多様な人たちと共に生きる、自分たちのことを自分たちでやる。それが彼らの自由であり、その生き方がアナーキズムだということがわかります。

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