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アフリカ独特のユルさが、アフリカらしい発展の鍵となる

明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授 笹岡 雄一

アフリカ独自のプロセスで自由貿易圏が生まれる

 アフリカには、私たちの「常識」ではあり得ない、不思議さが多々あるのですが、例えば、そのひとつが国家間の戦争がほとんど起きていないことです。

 アフリカというと、紛争の絶えない地域というイメージをもっている人が多いと思いますが、その多くは政府軍と反政府軍の内戦であったり、国内の異なるエスニック・グループ間の対立なのです。

 要するに、アフリカの紛争は国境の中で起きていて、国家間の争いはほとんどないのです。それは、国境がユルいことがひとつの要因になっていると思います。

 例えば、アフリカの人たちにも、それぞれのナショナル・アイデンティティがもちろんあります。ときに、それが強く出ることもあります。一方で、ブラック・アフリカ的な意識、いわゆるアフリカ人の意識もありますし、エスニック集団の意識もあるのです。そのユルさや重なり方もアフリカ独特のものです。

 そこに、ナショナル・アイデンティティを強めるような国境管理の厳格化という世界基準を持ち込むことは、ユルさの上に形成されてきた微妙なバランスを壊しかねないですし、そもそも、膨大な国境線の長さを考えますと、アフリカがそれを受け入れること自体が難しいのではないかと思います。

 要は、世界の「常識」でアフリカを測ることは困難なのです。例えば、近年では、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)構想が推進されています。それは、EUやAFTA(アセアン自由貿易圏)のように、アフリカ全体の自由貿易を目指すものです。

 しかし、他方で、アフリカ各国の経済力はまだ未熟で、経済的な統合を進めるのは難しいという議論があります。

 確かに、例えば、流通インフラである幹線道路が未整備です。では、それを世界からの援助などで整備したとしても、特に貧しい国が多い内陸国では、交易に値する価値のある生産物がありません。すると、せっかく整備した幹線道路もメンテナンスができず、朽ち果ててしまいかねません。

 そもそも、アフリカ各国では、できる農作物などがかなり同じなのです。実は、これも、決まったものをどこの地域でも作るようにした植民地時代のモノカルチャーの影響なのです。

 こうした、インフラの整備問題や産業の構造を考えると、EUやAFTAのような発展が起こるのは、まだまだ先のことに思えます。

 しかし、EUやAFTAが成功の絶対的なパターンとは限りません。アフリカにはアフリカのシナリオがあるかもしれないのです。

 そもそも、アフリカが辿ってきた歴史はヨーロッパやアジアとも異なるのですから。その根底にあるアフリカ独特のユルさが、アフリカ独自の発展を生む可能性があるのではないかと考えています。

 実は、アフリカでは日本のイメージはとても良く、日本に対する期待も大きいのです。それを受け、日本の様々な企業が進出した時期もありましたが、最近は縮小傾向です。

 しかし、今世紀中にはアフリカ人が世界全体の人口の3分の1を占めるようになるとも言われています。その生産力や市場の大きさを考えると、アフリカが重要な地域であることは間違いありません。

 あらためて、より良いパートナーシップを築いていくことは日本にとっても重要だと思います。

 そのときには、ヨーロッパやアジアの成功プロセスを当てはめて考えるのではなく、アフリカの独自性や内発性を重視することが大切だと思います。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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