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国際法による説明なしに法の秩序に挑戦する中国に、厳しい南シナ海判決

奥脇 直也 奥脇 直也 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授(2017年3月退任)

南シナ海におけるフィリピンと中国の紛争について、7月12日、オランダのハーグにある国際仲裁裁判所は 中国が主張するこの海域における歴史的権利は、国際法上根拠がないと断定しました。しかし、中国はこの判決について「受入れず、認めない」と表明し、事態はまったく変わっていないように見えます。本当に国際法は効力がなく、無力なのでしょうか。

裁判が万能薬でない国際法

奥脇 直也 国際法は、一般の人にはあまり馴染みがなく、どのようなものか理解している人は少ないかもしれません。一言で言えば、主として国家と国家の関係を規律する法ですが、日本における六法全書のように、法典としてまとめられているわけではなく、国の領域(領土)の問題や、人権の問題、海洋における領域や漁業権の問題など、様々な問題ごとに各国間で取り決められた条約や協定、さらに慣習法などによって構成されています。国際関係における国家の存立の基盤をお互いに尊重し、かつ維持していくということが基本になっています。

 実際、国際法には統一的な法の機関はありませんし、国内におけるような裁判所もありません。それで法なのかと思う人は多いかもしれません。法を犯した人を罰することによって社会の安定を図る国内法を基準に考えるとそうですが、基本的に国際法とは、国家間で合意事項をベースにして外交的コミュニケーションを効率的に行うためのツール、と考えればわかりやすいのではないでしょうか。だから、それは紛争が生じた場合でも、裁判に直ちに結び付くわけではなく、国際法の概念と確定したルールを用いてコミュニケーションすることによって、国家が相互に何を意図しているか、より正確に理解可能にする。これが国際法のひとつの大きな機能なのです。

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