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モノ言う株主の台頭 ―会社法改正で変わる企業統治―

河内 隆史 河内 隆史 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授(2018年3月31日退職)

米国スタンダードとモノ言う株主

河内隆史教授 私は会社法、金融商品取引法、商品先物取引法などを研究分野としているが、今まさに国会で会社法改正法案が審議中であり、今回の法改正が意味することについて考察してみたい。
日本では従来、商法や有限会社法、監査特例法等の総称として会社法が用いられてきており、単一法典は存在しなかった。2005年にそれらを統合、再編成する法律として「会社法」が制定され、翌年施行された。今回の改正はおよそ10年ぶりということになるが、その背景には日本企業の国際化の進展がある。国際化に伴い、ファンドなど外国人株主の割合も増えてきている。
そこで要求されるのは、単に業績の向上に留まらず、コンプライアンスやガバナンスの実効性の確保である。たとえば、それは昨今の株主総会からもうかがわれることだ。かつて株主総会は“シャンシャン総会”と揶揄されたように、特に質疑応答もなく短時間で終了するのが定番だった。しかし現在は“モノ言う株主”が登場することも少なくなく、株主は発言力を強めつつある。また、株主総会は、環境問題など社会の声を訴える場としても機能し始めている。
日本企業の国際化とは、別の視点に立ってみると、米国でスタンダード化される企業経営のあり方を持ち込むことでもある。たとえば、日本の企業は従来、配当性向は高くなかった。利益は設備投資や内部留保に振り分けられることが多く、株主へ利益還元(配当)するという考えは希薄だった、しかし米国の株主は元来配当を求める傾向が強い。ファンドなどの外国人投資家を株主に持つ企業などでは、利益還元が要求されることが多くなりつつある。国際化がもたらした、変化の一つであろう。

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