明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

アフリカへの協力から日本経済の将来を考える

島田 剛 島田 剛 明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授

8月28日からアフリカの経済開発や今後の国際協力について話し合う国際会議TICAD7が横浜で開催され、明治大学でも 8月27日にノーベル経済学賞のスティグリッツ教授を招いてセミナーを行いました。TICADはもともと、日本が中心となって立ち上げた会議で、その歴史は四半世紀に及びます。その間、アフリカ各国は徐々に経済成長してきましたが、いま、アフリカの経済成長を考えることは、それだけにとどまらず、日本社会にある問題解決にも繋がると言います。

アフリカの経済成長に期待される日本の「カイゼン」

島田 剛 もともと、私は、外務省所轄の独立行政法人JICA(国際協力機構)に20年以上勤務していました。以前は、インドなど、アジアに関わっていましたが、近年はアジア各国が経済成長の成果を上げ始め、私が関わる地域は、アフリカが多くなりました。

 開発途上国と言われる国が経済成長を遂げる上で重要なポイントは、雇用です。人々が安定した職を得ることができれば経済は成長し、国も安定していきます。

 特に、アフリカは人口が多く、特に若い人たちが職に就き、収入を増やして消費意欲を高めると、巨大な市場ができていくことになります。そういった意味ではチャンスなのですが、逆に、仕事がなければ、失業者が溢れることになり、その不満から、紛争に繋がっていく可能性もあるわけです。

 では、どのように雇用を創出していけば良いのか。

 雇用を増やし、各人の収入を高めていくという意味では、もう、農業だけに頼ることは難しいと思います。サービス業も、雇用を増やしていくという点では期待できません。最も期待がかかるのは、製造業です。

 実は、現在のアフリカの製造業の現場は乱雑なことが多く、道具や原材料などの管理ができておらず、生産性が非常に低い状況です。それは、人材の育成ができていないことや、仕事の取り組み方の基本ができていないことが原因です。

 そのため、日本をはじめとした先進国の製造業は進出に二の足を踏み、そのために、いつまでも状況が改善されないという悪循環に陥っています。

 そこで、こうした状況を変えていく有効な方法として期待されるのが、トヨタなど日本の製造業で培われてきた「カイゼン」のノウハウなのです。

国際の関連記事

日本型イノベーションは日本的両利きリーダーから生まれる

2022.6.15

日本型イノベーションは日本的両利きリーダーから生まれる

  • 明治大学 商学部 専任講師
  • 鈴木 仁里
「タイ的自由主義」がわかると、日本人もタイ人が好きになる

2022.2.25

「タイ的自由主義」がわかると、日本人もタイ人が好きになる

  • 明治大学 国際連携機構 特任准教授
  • タンシリトンチャイ ウィライラック
西欧でも関心が高まる、私たちが知らなかったイスラム教の魅力

2022.2.10

西欧でも関心が高まる、私たちが知らなかったイスラム教の魅力

  • 明治大学 文学部 専任講師
  • 井上 貴恵
旬のサンマを味わう幸せを将来世代に残すために

2021.12.8

旬のサンマを味わう幸せを将来世代に残すために

  • 明治大学 法学部 教授
  • 佐藤 智恵
国宝の金印が偽物、ではないことがわかった

2021.11.10

国宝の金印が偽物、ではないことがわかった

  • 明治大学 文学部 教授
  • 石川 日出志

新着記事

2022.06.28

コミュニケーションを第一に、家族を大切にしよう

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

2022.06.21

地道でも “源”から、理解するようにしよう

2022.06.17

アインシュタインはいかにしてアインシュタインになったのか

2022.06.16

知の探索と深化の“両利き”で強みをさらに磨こう

人気記事ランキング

1

2020.11.04

私たちの身近にある熱エネルギーには多様な可能性がある

2

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

3

2022.06.22

ゲームのスキルは、その子の「資本」になる

4

2021.12.15

使い捨て文化にはない豊かさがある、日本の漆器の文化

5

2022.02.10

西欧でも関心が高まる、私たちが知らなかったイスラム教の魅力

連載記事