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アフリカへの協力から日本経済の将来を考える

明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授 島田 剛

就業スキルの向上に加え、労使関係を改善する「カイゼン」

 「カイゼン」とは、製造業などの生産現場で取り組まれてきた、作業の見直し活動のことです。つまり、現場の問題を見える化し、改善していくことです。

 その見える化の基本は、5Sと言われ、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」です。すなわち、前述したように、アフリカの製造業の現場が抱えている基本的な問題への対応として、最適な取り組みであると言えます。

 そこで、JICAなどは、まず、カイゼンを教えられるトレーナーを育成したり、コンサルタントを派遣する活動に取り組んでいます。

 その結果、日本の製造業が進出を考えたり、実際に進出が増えると、OJT(日常業務を通じた従業員教育)も進み、人材の育成は、さらに加速度的に進むと思います。

 そうすれば、日本だけでなく、各国の企業の進出が進み、それにともなって、雇用の機会がどんどん増えることが期待できます。

 一方で、AIや産業用ロボットなどが発展している現代では、製造業が進出しても、雇用はそれほど増えないのではないかという議論があります。

 しかし、日本での「カイゼン」の歴史を見ると、そこには、従業員だけでなく、企業側が学び取る点も少なくありません。それは、「雇用」に対する考え方です。

 実は、「カイゼン」は作業の見直し活動だけでなく、もともとは戦後の生産性運動から始まっています。日本の労働組合は、当初、生産性運動に反対をしていました。

 なぜなら、生産性が上がれば労働者の数を増やさなくても良いことになり、むしろ解雇に繋がるのではないかと考えたからです。

 1950年代から60年代にかけて労働争議が激しくなりましたが、長い交渉の末、経済同友会や経団連が中心となって設立した日本生産性本部は、生産性を上げても労働者の解雇はしないという「生産性宣言」をします。対立的な労使関係から建設的な労使関係への転機となったのです。

 以後、労使の協力によって成り立つ「カイゼン」は多くの企業で積極的に導入され、日本の製造業の生産性向上に貢献していきます。

 すると、企業の業績が向上するとともに従業員の賃金も上がり、生活が安定した人々は消費を拡大していき、それが好景気となり、高度経済成長に繋がっていったのです。

 つまり、AIやロボットの導入で生産性を上げたとしても、人の雇用がともなっていなければ、需要が生まれず経済が成長するのは難しくなります。

 その意味で、就業スキルを向上させて生産性を上げるだけでなく、労使の協力を促す「カイゼン」の導入には大きな期待が寄せられているのです。

 実際、「カイゼン」はすでにアフリカ各国に浸透し始めています。今年は、チュニジアでアフリカ全体の「カイゼン」年次会合がありましたが、アフリカ各地から関係者が集まり、その数は200人に達しました。

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