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2016.04.21

日本にもエスノグラフィーの波が来る!?

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日本でも始まった産学協同研究

藤田 結子
藤田ゼミでエスノグラフィーを用いて広告代理店と共同研究を行う学生と
 2015年、電通から、マーケティングにエスノグラフィーを応用する共同研究を行なうお話しがきました。実は、日本でも大手企業の一部ではエスノグラフィーを応用したマーケティングが行なわれているようなのですが、企業秘密になっており、その内容は明かされていません。そこで、電通との産学協同により、エスノグラフィーの活用を研究することは意義があるし、また、学生たちがエスノグラフィーのスキルを身につけ、そのスキルを社会に貢献する活動につなげていくことを目指して、ethno idea lab (エスノアイデアラボ)という名の共同研究をスタートさせることにしました。

 私にとっても、エスノグラフィーをマーケティングに応用するのは初めてのことでしたが、実際に調査を行なってみると面白い結果が得られました。例えば、コンタクトレンズについて調査したことがあります。日常的なコンタクトレンズの使い方、どんな付け方をして、どんな外し方をして、どういうときに付けているのか。さらに、店舗でコンタクトレンズを購入するとき、店員さんとどんなやり取りがなされ、どういう風に説得されたら買う気になるのか。10人を対象に3ヵ月間の調査を行なったところ、購入に際しては、コンタクトレンズメーカーの方が一番重要だろうと思っていたことがユーザーにはまったく重要ではなく、別のことを重視している傾向が分析結果として出たのです。その詳細については共同研究のウェブサイト(www.ethno-idea-lab.com)で公開していますが、エスノグラフィーがマーケティングに応用できることを、私も実感しました。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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