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【特別号】箱根駅伝優勝を夢見て ―競走部に懸けた20年間の奮闘の軌跡―

松本 穣 松本 穣 明治大学 名誉教授(元商学部教授)

競走部部長に着任の頃 草を刈りながら観察の日々

松本穣教授 1995年に競走部の部長に着任して今年でちょうど20年になりました。43年間教員をやって退職という運びになるので、教員生活のおよそ半分は競走部で過ごしてきたわけですが、着任した頃の競走部は残念ながらお世辞にも強いとは言えませんでした。
部長になって最初にやったことは、練習場になっているトラックを見に行くこと。実際に見てみると、背丈ほどの草があちこちに生えていて荒れ放題。これを何とかするところから始めなきゃならないなと思いました。私は300年ほど続いている専業農家の息子で、実家が懇意にしているメーカーから当時のお金で60万円くらいする高性能の草刈機を購入し、荒れたトラックの草刈りを始めました。「おーい、みんな手伝ってくれよ」と部員に声を掛けても、最初は「僕ら練習ありますので」と、どこかのおじさんが草刈りをしているなぁというような反応でした(笑)。草があまりに生えすぎていてエンジンが焼き切れたり、草むらに残っているハンマー投げのハンマーを噛んでしまって故障したり、と大変だった記憶が今でも蘇ります。
「なんで明治は弱いんだろう」
草刈りをしながら、じっと1年間、部を観察しました。まず、それまでの戦績が良くなかったので強い選手がいない。だから、指導者も力が入っていない。そして、予算もない。近年、ドラッガーを読んだ女子マネージャーが高校野球部を立て直すという本がベストセラーになりましたが、当時の私はまさにそんな感じでした。「ヒト、モノ、カネ」これが揃わないことには、まず勝負になりません。私の専門は会計学ですが、競走部の立て直しは、何冊も読んだ経営学の本の実践じゃないかとも思いました。
ヒトと言うのは、指導者と選手。モノは合宿所やグラウンド。カネはまさに「軍資金」ということになります。ところが着任したときの競走部の部費はありませんでした。私の部長手当も微々たるもの。もちろん、部長の手当てなどはどうでもいいのですが、とりあえず、強い部にするにはそれなりの「軍資金」の必要性があります。
「ヒト、モノ、カネ」これをどうするのか。できるところから、一つずつやっていくしかないと決意したものの、気の遠くなるような話でした。しかし、自分が始めなければきっと誰もやらないだろうと思い、歩みを進めてきたわけです。

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