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すべての子どもに、たくさんのキャンプを体験してほしい

吉松 梓 吉松 梓 明治大学 経営学部 准教授

不登校の子にとっても貴重な体験になる

 子どもが不登校になるきっかけは、いわゆる、いじめなどの人間関係のトラブルや、成績などが伸びずに自信を失うなど、それぞれにあります。同世代の仲間を信頼するとか、自己肯定感を高めることができなくなっているのです。キャンプは、そういう状況を改善するためにも有効的です。

 例えば、キャンプの中の小人数のグループでの活動は、人間関係を少しずつ試す機会になります。そこで、信頼したり、信頼されることを体験することで、他者と関わることも悪くない、ということが実感できるようになるのです。

 それが自己効力感や自信に繋がっていく調査結果が出ています。

 私自身、不登校の中学生を対象とした組織キャンプに関わっていましたが、キャンプ場に来て、すぐに周囲と打ち解ける子は少ないです。周囲の子どもたちと一歩離れている子もいるし、スタッフとは関わり合うものの同世代の子には話しかけられなかったり、やはり、人それぞれです。

 けれども、家でひとりでゲームをしていた状況とは違い、キャンプでは、他者と一緒になにかをやらないとなにもできない活動ばかりです。

 それぞれ役割分担をしたり、協力し合いながら炊飯し、それをみんなで食べて、夜は同じテントに泊まって寝る、という生活を続けていると、自然と会話が生まれ、打ち解けてきます。

 もちろん、スタッフもインストラクションしたり、サポートする部分もありますが、キャンプにおいては自然と他者との関係ができてくることが多いのです。

 また、たき火や満天の夜空をじっと見つめ続けるようなひとりの時間をもつこともでき、それは内省へと繋がるようです。自然という環境には、そういった力もあります。

 しかし、キャンプが効果的だからといって、行きたがらない子を無理やり参加させても、逆効果になることもあります。いまの自分の状況を変えたいと、本人自身が思っていることが大切です。

 人は、自分を守るために殻に閉じこもることが必要なときもあります。同時に、そのままではいけないことを自身もわかっています。その気持ちがつのったときに、それを形にするひとつの手段として、キャンプは非常に有効だと思います。

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