ジェンダー規範の影響も
他にも、「ジェンダー規範」の影響を無視することはできません。社会規範とは、社会で共有される「~をすべきである」という価値観のことで、ジェンダーに関する社会規範がジェンダー規範です。例えば、「男性は外で働き、女性は家を守るべき」といった伝統的な性別役割分担意識はジェンダー規範の一例です。
世界価値観調査という国際調査の結果、日本は世界のなかでもジェンダー規範が強い国であることがわかっています。
ジェンダー規範の強い社会では、企業の意思決定も、ジェンダー規範の影響を受けると考えられます。たとえば「家を守るのが役割である女性は、外で働くことに向いていない」といった女性に対するバイアス(偏見)が無意識のうちに生み出され、企業は女性に重要な仕事を割り振らなかったり、人事評価を行う際に、女性の仕事の成果を無意識に実際よりも低く評価してしまったりといったことが起こりえます。そうすると、同じ生産性の男女の間にも賃金格差が生まれてしまいます。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。